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ペリネイタルケア2016夏季増刊16③胎児心拍の確認(図2) 正常経過であれば、妊娠6週以降で90%以上、妊娠8週で100%胎児心拍を確認できる。心拍が確認できない場合は、まだ確認するには時期が早いか、稽留流産のいずれかになるので、妊娠週数の推定が重要となる。妊娠反応が陽性になる場合には少なくとも妊娠4週0日を過ぎている(不妊治療でhCGホルモン筋肉注射を行っていると、この限りではない)はずなので、妊娠反応陽性から4週間を過ぎていれば、まず間違いなく妊娠8週になっていると判断し、超音波検査を行う。④分娩予定日の確定 胎児心拍の確認の次は、予定日の確定が必要となる。なぜなら、予定日が不正確だと、その後の胎児発育の評価、流産・早産・正期産、予定日超過による分娩誘発の決定などを正しく判断できなくなるからである。最終月経開始日から決める予定日は月経周期を28日、2週0日で妊娠の成立を起点としている。よって、月経周期が35日であれば予定日は1週間後に、21日であれば1週間早まるはずである。しかし、最終月経から算出する方法は妊婦の記憶に頼っており、また、月経周期を加味しておらず、その予定日の妥当性を確認する必要がある。ただし、基礎体温表や不妊治療などで排卵日や妊娠成立日が分かっている場合は妊娠の始まりについて最も信頼できる情報であり、これによって決定された分娩予定日は変更する必要はない。 超音波検査により頭殿長(crown rump length;CRL)を計測し予定日を調整するが、その計測にも適切な時期がある。日本超音波医学会は日本人胎児の発育曲線を作成し、CRLにより妊娠日数を推定する場合には、CRL値で10mmを超える妊娠8週1日から50mm未満の妊娠11週2日の間での計測を推奨している。しかし、月経周期の個人差を加味すると、CRL値が14〜41mm(妊娠9〜10週)の範囲で行うのがよい2)。 図3は妊娠9週3日のCRLである。計測値は21.9mmで9週2日相当である。最終月経開始日からの週数とほぼ一致するので、予定日の変更は必要ない。計測値と週数とのずれが5日以上あり月経周期が典型的な28日型でなければ、予定日を修正する必要がある。ただし、図3のような十分に拡大された正しい断面による計測でないと、計測エラーから間違った修正を行う恐れもある。 初期の健診は特に理由もなく2週間ごとに行われる施設が多いが、受診目的から考えると、最初は正常妊娠の確定なので、胎囊の存在を子宮内に確認する、すなわち異所性妊娠を否定するまで1週ごと、次は妊娠6〜8週で心拍を確認する。そして、予定日決定を妊娠9〜10週で行うという具合に、健診に目的を持たせるべきであろう。妊娠は週数によって判断すべき項目が変化するので、見るべきときに見ておかないと重要な判断ができなくなるからである。受診目的を考えて健診計画を立てる方が、妊婦にとっても医療サイドにとっても利点が多いと考える。 予定日が確定した後は、いわゆる妊婦健診が始まる。次回の健診時期を2週間後にするか4週間

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