M011750
12/14
162 ペリネイタルケア 2017 新春増刊総論新生児の適応生理東京女子医科大学母子総合医療センター新生児医学科准教授 内山 温 うちやま あつし胎児循環・新生児循環 胎盤からの動脈血は、臍静脈を介して、主に静脈管(⬆①)に流入する。その後、下大静脈に流入し、卵円孔(⬆②)を介して右心房から左心房に流入する。さらに左心室、大動脈へと流入する。 一方、胎児の上半身からの静脈血は、右心房に流入した後、多くが右心室から肺動脈へ流入する。肺血管抵抗が高いため、肺動脈の血液の多くは、動脈管(⬆③)を介して大動脈に流れる。さらに、総腸骨動脈の分枝である内腸骨動脈を介して臍動脈に流入して胎盤に戻る。胎児循環 出生後、肺血管抵抗の急激な低下に伴い、肺血流量が急激に増加する。その結果、左心房に還流する血流量も増加する。さらに右心房圧も低下するため、卵円孔を介する血流(⬇①)は、左心房から右心房へ流れるようになる。その後、卵円孔が閉鎖して卵円窩になる。出生後、体血管抵抗が上昇し、肺血管抵抗は低下するため、動脈管の血流(⬇②)も大動脈から肺動脈への流れに変化して、動脈管が閉鎖する。閉鎖後は動脈管索になる。静脈管(⬆③)は、通常、出生後数日で閉鎖する。閉鎖後は静脈管索となる。臍静脈と臍動脈は閉鎖後、それぞれ肝円索と臍動脈索になる。新生児循環Ⓐ胎児循環卵円孔右肺静脈管右心室右心房臍静脈胎盤臍動脈動脈管左肺左心房左心室肝臓門脈大動脈③①②大静脈卵円孔→卵円窩右肺右心房右心室静脈管→静脈管索臍静脈→肝円索臍臍動脈→臍動脈索動脈管→動脈管索左肺左心房左心室肝臓門脈大動脈③①②Ⓑ新生児循環大静脈
元のページ