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ペリネイタルケア  2018年 新春増刊204子宮破裂のリスクが上昇し、経腟分娩を選択すること(trial of labor after cesarean delivery;TOLAC)はできなくなる。 いずれの切開を行う場合でも、子宮筋層は分厚く、また切開時の出血が多く視野が不良であるため、誤ってメスや鉗子で児を傷つけないよう血液を吸引しつつ慎重に切開を進める必要がある。この際に、薬物的に子宮を弛緩させることで、切開創の視野の改善や後の児娩出が容易になることが期待できる。効果の発現が早く、効果時間が3〜5分と短いニトログリセリンが用いやすい2)。⿎児娩出浮動した児に対して 破膜を行わず羊膜に包まれたままの児を胎盤ともに一塊として娩出する(いわゆる幸帽児)ことで、児が子宮内で迷入してしまうことなく娩出することができる。術者の手を子宮体部から底部にまで挿入して胎盤および羊膜全体を子宮壁からしっかりと剝離し、児全体を押し出す、もしくは牽引して娩出する(図3)。破水後の症例であっても、同様の手技で娩出することが可能である。 ほかの選択肢として、頭位の児に対して破膜の上で児の足を把持し、児頭を子宮底部側に誘導しつつ骨盤位として娩出する方法がある。その際には、無理な児の把持や牽引による分娩時外傷や、最後に娩出される児頭の子宮筋層への嵌頓に注意を要する。幸帽児での娩出図3羊水腔胎盤

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