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はじめに聖隷浜松病院産婦人科・総合周産期母子医療センター 部長村越 毅 ハイリスク妊娠の増加と分娩数の減少により、帝王切開分娩率は年々増加し、現在は全分娩の約20%(一般病院約25%、診療所約14%)が帝王切開分娩です。また、周産期センターなどの施設では50%以上が帝王切開分娩というところもあります。そのため、周産期医療に関わるスタッフは、経腟分娩と同様に帝王切開分娩についての知識が今まで以上に求められています。助産師においても経腟分娩の直接介助のみでなく、帝王切開術の直接介助(器械出し)も含めて分娩介助として知っておく必要があるかもしれません。もはや、帝王切開分娩も普通の分娩方法の一つとして、私たち周産期医療に関わるスタッフは考えなければいけないかもしれません。帝王切開分娩の内容を理解することは、分娩管理の幅を広げる大切なことと考えます。基本的には経腟分娩も帝王切開分娩も分娩として変わることはありませんが、術前・術後の管理や、麻酔、疼痛管理、母乳育児など、帝王切開分娩ならではの対応も必要となります。これらの内容を医学的知識のみならず、看護の視点からも対応できるように本増刊を企画しました。特に、医療技術面では実際の写真や図を中心に分かりやすく解説しています。 本増刊では、選択的(予定)帝王切開術を中心に、手術の適応から、術前の確認事項、麻酔方法、術式、術中の器械出し、術後のアセスメントとケア、術後の合併症、母乳育児などについて、必要な知識や行うべき内容を時系列で網羅しています。また、緊急帝王切開術、超緊急帝王切開術(グレードA)、無痛分娩から帝王切開術への移行、早産児の帝王切開術、帝王切開術から子宮全摘出術への移行など、特殊な帝王切開術、さらに、特別なケアが必要なケースやグリーフケア、死戦期帝王切開術や胎児治療など、帝王切開術関連の最新手術についても解説し、助産師・看護師、研修医のみならず、ベテランの医師にとっても知識の整理に役立つような一冊を目指しました。本書が帝王切開分娩に関わる医療スタッフ全てにとってのバイブルとなることを願っています。

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