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ペリネイタルケア  2018年 新春増刊54ヘキシジングルコン酸塩液)とアルコールによる消毒が、ポビドンヨードとアルコールによる消毒よりも術後感染を減らす効果が期待できるため推奨される1)。⿎開 腹 開腹における皮膚切開方法は、下腹部正中切開と下腹部横切開に二分される(図2)。いずれにおいても、帝王切開術の手技としての行いやすさ、術後の回復、疼痛、合併症などに差はなく、帝王切開術の適応や術者の技量、妊婦の希望などにより決定すればよい。ただし、前置癒着胎盤などで帝王切開術後に引き続き子宮全摘出術を行う場合や、腹腔内癒着が高度に予測される場合などにおいては、下腹部正中切開が選択されることが多い。 下腹部正中切開の利点は、大きな視野がとりやすいために子宮全摘出術や癒着剝離術など帝王切開術と同時にほかの手術が行いやすいこと、将来的に下腹部の手術が必要なときに同じ皮膚切開で開腹可能であることなどであるが、欠点は、腹部の中心に傷が残るために美容的に目立ちやすいことが挙げられる。 一方、下腹部横切開の利点は、皮膚割線や自然な皮膚の皺しわに沿った皮膚切開を行うことが可能なため美容的に目立ちにくいことにあるが、欠点は切開法によっては下腹部正中切開よりも視野がとりにくいこと、次回以降の下腹部手術において正中切開を選択せざるを得ない場合に切開線が逆T字もしくは十字となる可能性があることである。 下腹部正中切開では、皮膚、皮下組織、筋膜、筋肉(白線)、腹膜のいずれも縦切開で行う(図3のa、c、d)。また、手術中に術野の延長が必要な場合開腹法の違い図2下腹部正中切開下腹部横切開

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