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ている」という記載のみでは不十分であり、影響が出る妊娠時期を可能な限り特定することと、妊婦の治療上の有益性も考慮して記載することが求められている。ここでの「有益性」は、「妊婦が罹患している疾患が生命にかかわる疾患であるか」「妊娠期間中に治療の有益性を損なわずに使用可能な低リスクの代替治療があるか」「妊娠期間を避けた治療の延期・回避が可能か」などによって判断される。 一方、動物を用いた試験などで妊娠、胎児および出生児への影響が認められていないもので、薬理作用からも影響が懸念されないものに関しては「妊婦」の項を設ける必要がないとされており、妊婦に多く使用されている医薬品について「妊娠中の投与は安全と考えられている」という表現が記載される可能性は低いと予想される。授乳婦 「授乳婦」の項には、「乳汁移行性のみならず、薬物動態及び薬理作用から推察される哺乳中の児への影響、臨床使用経験等を考慮し、必要な事項を記載」した上で、投与に関する注意事項は、「授乳を避けさせること」「授乳しないことが望ましい」または「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」を基本として記載する、とされている。旧記載方法の「乳汁移行するものがすなわち授乳禁止」からの改定の意義は大きいと言える。生殖能を有する者 さらに「生殖能を有する者」が新設され、投与前または投与中の避妊の必要性や定期的な妊娠検査の必要性を記載すること、とされている。女性患者においては催奇形性などに関する報告、妊娠可能なパートナーを持つ男性患者においては、遺伝毒性などの情報に基づいて(文献2より作成)9. 特定の患者集団への投与9.4 生殖能を有する者 ①患者及びそのパートナーにおいて避妊が必要な場合に、その旨を避妊が必要な期間とともに記載すること ②投与前又は投与中定期的に妊娠検査が必要な場合に、その旨を記載すること9.5 妊婦 ①胎盤通過性及び催奇形性のみならず、胎児曝露量、妊娠中の曝露期間、臨床使用経験、代替薬の有無等を考慮し、必要な事項を記載すること ②注意事項は、「投与しないこと」「投与しないことが望ましい」又は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」を基本として記載すること9.6 授乳婦 ①乳汁移行性のみならず、薬物動態及び薬理作用から推察される哺乳中の児への影響、臨床使用経験等を考慮し、必要な事項を記載すること ②母乳分泌への影響に関する事項は、哺乳中の児への影響と分けて記載すること ③注意事項は、「授乳を避けさせること」「授乳しないことが望ましい」又は「治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること」を基本として記載すること改定後の添付文書における「使用上の注意」の「特定の患者集団への投与」の記載要領表1ペリネイタルケア 2019 新春増刊 151 周産期のくすり〜もう添付文書は怖くない!?第1部くすり大解説第1章総 論

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