COLUMN妊婦に良いサプリって?サプリメントとは サプリメントとは、特定の成分が濃縮された錠剤・カプセルなどの製品を指し、栄養補助食品とも呼ばれ、食品に分類される。炭水化物・脂質・タンパク質の3大栄養素が効率よく作用するためには、微量栄養素のビタミンやミネラルが必要となる。このような栄養素の中で、必須ビタミン、必須ミネラル、必須脂肪酸は不足しやすいと考えられており、サプリメントはこの不足した栄養素を補充する目的で用いられていた。 サプリメントはその製法から、①化学合成サプリメント、②天然素材を利用し化学合成したサプリメント、③天然の成分を抽出したサプリメントの3つに大別される。①と②に関しては、基本的には成分表に記載されているビタミンやミネラルのみが含まれているが、③の場合は目的とする成分だけではなく、成分が自然に存在する配合で摂取が可能となるので、より効果的だという意見もある。妊婦に足りない栄養素 妊娠中の栄養摂取は妊婦自身だけでなく胎児へも影響が及び、胎児期の栄養状態が出生後成人期までの健康に影響を及ぼすことがわかってきたため、その重要性が指摘されている。現在の日本で顕著な栄養不足となることは考えにくいが、果たして妊婦は十分な栄養摂取が行われているのだろうか? 2003年のTakimotoらの報告1)では、エネルギー、カルシウム、鉄などが1日に必要とされる摂取量を確保されていないとしている(表1)。エネルギー量 エネルギー摂取量の不足に関しては、近年の日本における平均出生時体重の減少、低出生体重児の増加の原因の一つとされている。鉄 鉄は赤血球中のヘム鉄として、全身に酸素を運搬する重要な役割を果たしている。妊娠中は循環血漿量が増加して貧血傾向になり、ヘム鉄の必要量が増加する上に、胎児の発育にも鉄が必要であるため、非妊娠時以上の摂取が必要である。十分な鉄分が摂取されず、妊婦が鉄欠乏性貧血になると、早産や低出生体重児が増加するという報告もある2)。 また出産時にはある程度の出血は伴うことになり、予期せぬ産後大出血も起こり得る。出産前に貧血である場合、輸血を考慮する機会が増えてしまう。輸血に至らなくても、十分な貯蔵鉄がなく自力での貧血改善が進まない場合は、産後の育児にも影響を及ぼすため、妊娠鉄蕉会亀田総合病院産婦人科 部長●田嶋敦 たじま あつし108 ペリネイタルケア 2019 新春増刊
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