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疲労などが原因となる機能性子宮復古不全とがある(表2)。治療方針としては、器質性子宮復古不全であれば原因の除去、抗菌薬の投与が行われる。また、子宮収縮薬としてオキシトシンや麦角アルカロイドの投与を行う。産後も積極的に超音波を!! 子宮の復古は腹壁の触診による子宮底の高さと内診によって観察されており、教科書には産褥日数に合わせた子宮底の高さの図が示されている。しかしながら、腹壁が厚い場合や子宮筋腫などがある場合には子宮復古不全の判断が困難であり、また子宮の復古が進むと腹壁からの診察が困難になる。子宮底が触れないくらい小さくなっていても子宮復古不全の場合があり、注意が必要である。 子宮復古不全を疑う収縮不良や、悪露の異常を認めていない場合でも、積極的に超音波検査を施行し、胎盤や卵膜の遺残の有無、悪露滞留の有無を確認すべきである。遺残した胎盤片は胎盤ポリープを形成することがあるといわれている。胎盤ポリープは産後数週間たってから大出血を来し得る産後晩期出血の原因疾患であり、カラードプラ法を用いた超音波検査で診断できる。退院前の診察と1カ月健診時には超音波検査を用いた診察を行うことが産後のトラブルを減らすためにも必要である。topics引用・参考文献1) 日本産科婦人科学会.“産褥の生理”.産婦人科研修の必修知識2016-2018.東京,日本産科婦人科学会,2016,302-3.2) 石原理ほか.“子宮と全身の復古”.産科婦人科学(講義録).東京,メジカルビュー社,2010,424-5.3) 日本産科婦人科学会編.産科婦人科用語集・用語解説集 改訂第4版.東京,日本産科婦人科学会, 2017,137.悪露の変化表1産 褥悪露の変化2〜3日赤色3日〜1週間褐色1〜2週間黄色3〜4週間白色4〜6週間消失子宮復古不全の原因表2器質性子宮復古不全・胎盤や卵膜の遺残・悪露の滞留・子宮内感染(子宮内膜炎など)・子宮筋腫や子宮腺筋症 など機能性子宮復古不全・子宮筋疲労(多胎妊娠、羊水過多症など)・子宮収縮抑制薬の使用(リトドリン塩酸塩や硫酸マグネシウム)・母体の疲労・授乳しないことによるオキシトシンの不足・過度の安静 などペリネイタルケア 2019年 夏季増刊185第1章 子宮の復古子宮復古のメカニズム1第VI部 産褥期の生理

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