130011951
7/18

 多くの回旋異常は早期、つまり第一回旋の異常が原因であることが多い。骨盤の形や大きさのみならず、有効な陣痛が得られない場合に回旋異常が起こりやすい。回旋異常では児頭下降が停滞し、母体疲労から微弱陣痛を引き起こす。不正軸進入 骨盤入口面に児頭がしっかり固定(=嵌入)することが回旋のスタートである。この嵌入がうまくいかないと、その先の分娩が進まない。骨盤誘導線に沿うように骨盤に進入しない状態を不正軸進入(扉図上)という。内診すると矢状縫合が上に凸、下に凸になっている場合が不正軸進入であり、正常では横に真っすぐに触れることができるはずである。前頭頂骨進入(矢状縫合が下に凸)の場合は、骨盤誘導線に沿って進入することができるが、後頭頂骨進入の場合は進入することが非常に難しい。また、児頭が恥骨にぶつかるように下降しているので、産婦は恥骨周囲の疼痛を強く訴えることが多い。高在縦定位 そもそも、骨盤入口面で児頭が縦のままの状態であることを高在縦定位という(扉図中)。後頭前方の場合はそのまま第二回旋することなく娩出に至ることも多いが、後頭後方はうまくいかないことが多い。反屈位 第一回旋の異常であり、屈位をとれない状態をいう。全分娩の1.5〜2.5%で発生する。前頭位が最も多く、額位が最も少ない(扉図下)。その後娩出できるかどうかは、第二回旋によって決まる。頭頂位・前頭位では第二回旋で前頭が前方へ回旋して前方前頭位、すなわち上を向いて娩出されることが多い。 反屈位が娩出可能かどうかは内診で確認し、児の顔面が正位なのか逆位なのかで決定される。正常回旋における第三回旋は、恥骨下点を支点とする回旋なので、反屈位で児頭が下降した場合、この第三回旋ができるのかどうかで娩出の可否が決まる。顔面が正位の場合、首はすでに伸展しきった状態で、これ以上の伸展は不可能であり、娩出不可となる。一方、顔面が逆位の場合、首は過伸展している状態から屈位に戻るのが第三回旋となるので、娩出に至ることが可能である(図1)。後方後頭位 母体背側で後頭部が先進しているので、首は過度に屈曲しており、これ以上の屈曲はできないため、自然娩出は難しい。鉗子などの産科手術が必要になり、会陰に過度の負荷がかか回旋異常の発生するメカニズムペリネイタルケア 2019年 夏季増刊177第3章 胎児の回旋回旋異常2第V部 分娩の生理

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る