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1)バイタルサインの測定 分娩時に母体のバイタルサイン、特に血圧を測定し記録することは極めて重要である。例えば妊娠高血圧症候群は、たとえ直近の妊婦健診で高血圧を認めていなくとも、その後短期間に妊娠高血圧症候群に至る可能性がある。分娩第1期や第2期は頻回な陣痛により、母体血圧の正確な把握は容易ではないが、陣痛間歇期に測定することが望ましい。血圧の測定間隔について明確なエビデンスはないが、子宮収縮薬投与中は2時間間隔での血圧測定が推奨されており、それらを参考に定期的に測定する(少なくとも入院時に高血圧を示した妊婦では2時間以内の測定間隔とする)2)。血圧の定期的モニタリングは子癇予防に有効である可能性があるとし、『産婦人科診療ガイドライン:産科編2017』でも推奨されている。同様の理由で、分娩中に頭痛、視覚異常、意識障害、あるいは上腹部痛などを訴えた場合には血圧を測定する。なお、医師に報告する血圧のカットオフ値は各施設で事前に設定しておくことが望ましい。また、体温の計測は子宮内感染をはじめとする母体感染症診断の契機となる。特に前期破水の妊婦において、発熱の有無はその後の方針決定に重要である。母体発熱を認めたときは、胎児の酸素消費量の増加から胎児低酸素血症を引き起こす可能性を考慮し、ガイドラインでも連続モニタリングが推奨されている。分娩期の母体・胎児の評価ポイント分娩期の母体・胎児の評価・観察チェックリストバイタルサインの測定:血圧、心拍数、体温、呼吸数内診1) ➡詳細は「2 内診(Bishopスコア)」を参照 ◦外陰部(会陰の伸展性、静脈瘤の有無、浮腫の有無、前回の会陰切開創の有無) ◦腟(腟腔の広狭、腟壁の伸展性、腟中隔の有無) ◦ 子宮頸管成熟度(子宮口開大度、子宮頸管展退度、子宮頸部の硬度、子宮口の位置) ◦胎児先進部の種類、高さ、臍帯・四肢の下垂・脱出の有無、卵膜の有無胎児心拍数陣痛図(次項を参照) ➡詳細は「5 胎児心拍数(CTG)モニター装着とreassuringの確認」を参照ペリネイタルケア 2020年 新春増刊224寺田周平 てらだ しゅうへい聖隷浜松病院産婦人科 医長分娩期の母体・胎児の評価評価

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