乳房にまつわる児の不思議 乳輪が黒ずむことと、モントゴメリー腺(真の乳腺)からの分泌物は、児が母親の乳房・乳頭を見つけ、自ら乳頭を吸う能力を後押ししている。●児の嗅覚5) 出生後1時間の児は、血液中のカテコラミン値が成人の20~30倍も高く、ノルアドレナリン濃度が高いため、匂いの記憶がより強くインプットされる。つまり生まれて1時間以内に経験した匂いはとても強く記憶に残り、匂いから母親を鑑別することにもつながる。乳房の匂い、母乳の匂いが児を引き寄せているため、生まれてから平均して50分後に自分の力で乳房を吸い始めると考えられる。●児の視覚 生後間もない児の視力は0.02~0.03といわれ、生後6カ月で約0.1とされるため、黒ずんだ乳頭ほど見つけやすい可能性がある。ちなみに児は、出生後早期から、母親の表情の中でも目が自分を見てくれているものを好むとか。1)水野克己ほか.“乳房の解剖”.よくわかる母乳育児.東京,へるす出版,2007,21.2)水野克己ほか.乳房の解剖学・生理学(特集:母乳育児の疑問Mr.&Mrs.水野が一挙解決!).ペリネイタルケア.38(3),2019,224.3)水野克己ほか.“母乳分泌の生理”.前掲書1.26.4)Riordan,J.etal.BreastfeedingandHumanLactation.3rded.Boston,JonesandBartlettPublishers,2005,67-80.5)水野克己ほか.“生後早期に注意するポイントコラム”.前掲書1.88.引用・参考文献ペリネイタルケア 2020年 夏季増刊 41妊娠初期第1章❸❸❸❸❸❸❸❸❸❸❸第Ⅱ部 妊産婦の質問に答えられるようになる!
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