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128ペリネイタルケア 2021年 新春増刊子宮収縮とCTG異常 CTGの異常波形の出現頻度は、分娩第2期に明らかに多い。これは、何も胎児や胎盤、臍帯に異常がなくても、強い子宮収縮によって児頭や胎児が圧迫されることによって生じる。ある意味生理的なもので、発育などに問題のない児は、そのストレスに耐えて出生に至る。 しかし、胎児発育不全児や早産児、胎盤や臍帯に異常がある場合は、その子宮収縮(陣痛)というストレスに対して弱い状態であると考えられる。そのような場合には、手厚い胎児心拍数モニタリングを行うことで、異変に早く気付いてあげられるというスタンスになる。前述の表1にとらわれず、その必要性があると考えられる場合には、連続モニタリングにすべきであると考えると分かりやすいと思われる。❸臍帯異常とCTG異常 臍帯異常は変動一過性徐脈などの胎児心拍数異常が出現しやすいが、分娩第2期では臍帯異常があろうとなかろうと、その出現頻度に大きな違いはない。むしろ、分娩第1期では、有意に臍帯異常があると変動一過性徐脈の頻度が増える。ということは、分娩第1期にモニタリングをしないと、臍帯血流の問題を見つけてあげられないということになる。 卵膜付着や過捻転などの臍帯異常が超音波診断されている場合に分娩誘発(管理分娩)を行うことがあるのは、分娩第1期から産科施設でCTG監視下に分娩を開始させるという目的で施行される。最新エビデンス❸胎児機能不全の病態と対応 正常であったCTGが急激に胎児徐脈になるということから遷延一過性徐脈、それが10分以上続けば徐脈になる状態であると考える。今まで元気であった胎児にそのような急変が起こるのは、急激に何らかのストレスや要因がかかったと考える。大きく分けて、臍帯が圧迫されるなどによって起こる血流不全によるもの、子宮-胎盤での酸素化が悪化したことによるもの、母体自体の低酸素によるものが考えられる(表2)。 いずれにせよ、胎児の低酸素が問題になる。胎児心拍数のレベル分類でいえばレベル4や5の状態になるので緊急帝王切開術などの急速遂娩は念頭に置いて対応しなければならないが、問題❹正解Ⓑ経鼻酸素10L/分投与 →推奨されない臍帯要因(臍帯の血流不全)臍帯脱出、臍帯圧迫、臍帯卵膜付着や前置血管の圧迫や断裂など子宮・胎盤要因(子宮−胎盤での酸素化の問題)過強陣痛、子宮破裂、胎盤早期剝離、胎盤機能不全(妊娠高血圧症候群、胎児発育不全児)など母体要因(母体自体の酸素化の問題)仰臥位低血圧、母体意識消失、ショック、羊水塞栓症など表2急激な胎児心拍数異常を引き起こす原因

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