発刊にあたって発刊にあたって 2015年に日本助産実践能力推進協議会により助産実践能力習熟段階(クリニカルラダー:CLoCMiP®)レベルⅢ認証制度が開始され「アドバンス助産師」が誕生しました。この制度は、助産実践能力が一定水準に達していることを客観的に評価する仕組みであり、アドバンス助産師には、周産期医療に関する知識の習得はもとより、自律して助産ケアを提供できる臨床実践能力が求められます。2020年1月現在、アドバンス助産師認証者は累計で1万2,739名となり、助産師の就業者のおよそ3名に1名が認証を取得するに至っています。 さて近年の周産期医療を取り巻く環境は、出産年齢の上昇などによるハイリスク妊産婦の増加、メンタルヘルスケアや、児童虐待予防の観点でのケアのニーズの増加といった状況となっており、助産師には、高度な専門性、長いスパンでのケア、地域におけるケアなど、一人一人の妊産婦を丁寧で個別的にケアすることの必要性が高まっています。さらにアドバンス助産師には、院内助産や助産師外来を開設し、専門的でより質の高い助産ケアを提供することが期待されています。アドバンス助産師としてその助産実践能力が可視化されるということは、チーム医療の中で適切な役割を担えることの裏付けとなるのではないでしょうか。 そこで本増刊では、これからアドバンス助産師を目指す読者、またアドバンス助産師としての能力を維持・向上させたいと願う読者のために、ドリル形式の問題集を企画いたしました。助産師に関係するガイドライン・報告書・テキスト類から各分野のエキスパートの先生方にドリル問題を作成いただき、それぞれコンパクトに解説をお願いしました。単なる知識のレベルアップではなく、日々の助産ケアの向上につながる内容になっています。妊産婦さんの最も近くで寄り添う助産師の皆さんが、自信を持って安全・安心なケアを提供できることを願っています。大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻 教授 遠藤誠之
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