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44ペリネイタルケア 2021年 新春増刊児童虐待ハイリスクの親への対応助産ガイドラインでは、「CQ106 児童虐待ハイリスクの親に有効な介入は?」の問いに対し、「児童虐待ハイリスクの親に対しては、妊娠期または産褥早期から、少なくとも児が月齢6カ月になるまで、1週間に1回、トレーニングされた専門家が自宅訪問することが勧められる」としている。この根拠となる研究の家庭訪問件数は、平均訪問回数12回や妊娠期に10回、産後0~12カ月に20回、産後12~24カ月に20回の自宅訪問など、その回数は多い。日本においては、妊婦健診を行った助産師が家庭訪問に行くことは多くないため、地域の保健師との連携において地域で活動する助産師や保健師が家庭訪問を行うこととなる。しかし、家庭訪問回数は児童相談所と連携したとしても、さほど多くは実現しない。児童虐待ハイリスクの親は、経済的困窮や育児負担、それによる社会的孤立などの複数で複雑な困難を抱えていることが多い。妊婦健診を担当する助産師も支援チームの一員として、親の相談者になることが必要である。小林は、「虐待が起きている家庭では、経済的背景や生活苦や育児負担のために相談機関に通う余裕もないことが多く、育児についての指導的助言はほとんど意味がなく、かえって親のストレスを増やし、虐待を悪化させるか援助拒否につながる」9)という。まずは、早めの連携が重要である。問題❽正解Ⓒ地域の保健師との連携 ドメスティックバイオレンス(DV)の被害を受けている既婚女性は、内閣府の調査では31.3%と3人に1人の割合である10)。これは、妊婦も同様の割合と考えられる。DV被害を受けることにより流・早産の増加や出生時体重が少なくなるなどの影響がある。よって、妊婦健診にて早期発見につなげるために、「妊娠期の女性が安心して DV について打ち明けることができる環境を整備することが勧められる。 その上で、妊婦に対し DV スクリーニングを実施することが望ましい」とされている。❶妊婦のDV被害 食事は母体の体づくりと胎児の発育との関係が深く、バランスよく食べることが必要とされている。しかし昨今、やせの20歳代女性(BMI<18.5 kg/m2)の割合は19.8%と5人に1人となっている11)。やせ妊婦の場合、食事代わりに手軽に入手できるビタミン剤サプリメントを利用する可能性を考え、「健康で通常の食事が取れている場合には、ビタミン剤(A、B1、B2、B6、B12、C、D、E)のサプリメント の使用は勧められない」ことを指導時に伝えていただきたい。❷やせ妊婦への栄養指導

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