M021750
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脳出血患者の治療の目的は、再出血を予防すること、血腫で圧迫された脳組織を保護すること、頭蓋内圧亢進による脳ヘルニアを起こさないことです。脳出血の治療には薬物を用いた内科的治療と、手術を行う外科的治療があります。治療方針は、手術適応(表3)や全身状態や本人の意向など全人的に評価されて決定されます。外科的治療脳出血患者に対して行われる外科的治療には、血腫を取り除く手術(血腫除去術)とドレナージ術があります(表4)。血腫除去術血腫除去は、血腫を取り除くことによって脳の圧迫の原因を取り除き、血腫や血腫周辺組織の脳浮腫による頭蓋内圧亢進で起こる二次的脳損傷を予防し、脳ヘルニアを回避することができます。近年、脳出血の血腫周囲の脳組織は、脳梗塞におけるペナンブラに相当し、血腫除去などの減圧によって機能的に可塑性があると考えられています6)。脳室ドレナージ脳室ドレナージは、急性水頭症による脳ヘルニアのリスクを回避するために行わ表3高血圧性脳出血の手術適応(文献5を参考に作成)出血部位手術適応被殻出血神経学的所見が中等症、血腫量が31mL以上でかつ血腫による圧迫所見が高度な被殻出血では手術の適応を考慮しても良い。とくに、JCS-20~30程度の意識障害をともなう場合は、定位的脳内血腫除去手術が勧められる。視床出血血腫除去を勧めるだけの根拠はない。血腫の脳室内穿破をともなう場合、脳室拡大の強いものには脳室ドレナージ術を考慮しても良い。皮質下出血脳表からの深さが1cm以下のものではとくに手術の適応を考慮して良い。手術方法としては、開頭血腫除去術が推奨される。小脳出血最大径が3cm以上の小脳出血で神経学的症候が増悪している場合、 または小脳出血が脳幹を圧迫し脳室閉塞による水頭症をきたしている場合には、 手術の適応となる。脳幹出血血腫除去を勧めるだけの根拠はない。脳幹出血のうち脳室内穿破が主体で、脳室拡大の強いものは、脳室ドレナー ジ術を考慮しても良い。出血部位に関係なく適応なし血腫量10mL未満の小出血または神経学的所見が軽度な症例は手術の適応にならない。意識レベルが深昏睡 (JCS-300)の症例に血腫除去を勧める根拠はない。14BRAIN NURSING 2017 春季増刊脳出血の治療・手術のきほんC
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