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 「脳神経疾患患者を理解するのは難しい。脳神経看護はわからない」と言われることがよくあります。さまざまな脳神経疾患の理解、多彩な神経学的徴候の観察、病態や病期に応じた看護、新人や脳神経看護の経験の少ない看護師にとっては、脳神経看護が実践できるようになるには何から学習していけばよいのか不安なことと思います。 本書では、脳神経看護に関連するほぼすべての疾患を網羅し、疾患ごとの特徴や治療についてまとめ、発症から退院までの経過をひと目でわかるようにフローチャートにしました。フローチャートでポイントとなる看護については、詳細に解説しています。皆さまが担当している脳神経疾患患者が、どのような疾患で、どのような検査や治療が行われ、どのような経過をたどるのか予測することができ、さらに、場面ごとに看護師は何を観察し、どのような看護を行わないといけないか理解することができます。 脳神経看護では、看護師の実践能力によって、患者の重篤化を回避することができ、今後の生活に大きな影響を与えます。適切な看護を行うには、看護師の脳神経看護についての専門的知識が必要です。目の前の患者に看護を実践し、本を開いて知識を確認し、また実践する。その繰り返しが専門的な看護実践能力の向上につながり、自信につながるのだと思います。臨床での実践経験は重要ですが、その経験に知識の裏付けを行うことが大切です。脳神経疾患の治療や看護は日々進歩しています。本書を執筆してくださった看護師は、それぞれの疾患の患者に対する看護実践や看護師教育を最前線で行っている方々です。長年にわたって脳神経看護を実践してこられた方にも、知識の再確認のために十分に役立つかと思います。 本書が、脳神経看護に携わる看護師が自信をもって看護実践でき、脳神経看護の質の向上につながれば幸いです。徳島大学大学院医歯薬学研究部保健科学部門看護学系療養回復ケア看護学分野助教日坂ゆかり監修のことば

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