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BRAIN NURSING 2017年夏季増刊 20111Chapter脳の局所症状 中枢神経の障害によって、四肢の筋肉が収縮した際に見られる異常肢位の1つです。病変は延髄より中枢側で、おもに中脳や橋きょうの損傷によるものが多く、除皮質硬直よりも重症とされています。 特徴的な姿勢は、両上肢が肘で伸展、前腕は回内、手の関節は軽度屈曲します。両下肢は股関節で内転、膝関節で伸展し、足関節は底屈(足の裏側へ曲がる)します。体幹は弓なり反張することがあります。頭部を左や右に向けると、向けた側の上下肢は伸展し、反対側の上下肢が屈曲します。これは強直性頚反射(tonic neck reflex)という原始反射の1つです。 中脳や橋からの信号入力がなくなると、体幹筋や伸展筋の抑制が相対的に弱まり、筋緊張の亢進状態が持続するため、このような姿勢になります。 除脳硬直の姿勢を確認した場合、重度の意識障害で脳幹周辺の中脳・橋付近に病変があると診断できます。GSC(Glasgow Coma Scale:グラスゴーコーマスケール)では4(E1/V1/M2)、JCS(Japan Coma Scale:ジャパンコーマスケール)では200に相当します。 原因疾患としては、脳出血(脳幹出血、くも膜下出血)、脳底動脈塞栓症、脳腫瘍などが考えられます。いずれの疾患でもきわめて重篤な状態で、昏睡状態であり、不整脈や心停止、呼吸不全などの危険を伴う予後不良な状態と予想されるため、緊急で呼吸を確保し、原因疾患の治療を行う必要があります。 (上野 泰)159. 除じょ脳のう硬こう直ちょく

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