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コアスタディ● 脳神経ナースに必須の技術! せん妄·認知症患者さんへのあの手この手BRAIN NURSING 2019 vol.35 no.12(1127)7題をともない、その症状が短期間で急に起こるうえに日内変動を認めるという特徴があります。よく病棟で、「夜間せん妄」ということばを耳にしますが、これはせん妄が日内変動を認め、日中よりも夜間に悪化しやすい傾向にあることを示しています。 また、せん妄は「直接的な生理学的結果によって引き起こされたという証拠がある」と記載されるように、患者さんの精神的な問題のみで生じるものではありません。せん妄は「全身状態の悪化・不良を示すサインであり、丁寧に話を聞けば治る、入院のショックから起こるので、家に戻せば治ると考えるのは誤解である」1)ということを、看護師はよく理解する必要があります。せん妄が「患者さんの身体になんらかの要因があって生じている注意や意識の障害である」ことがわかれば、要因を減らすようにはたらきかける、または要因を除去することによって、予防や治療ができることがよくわかります。看護師が積極的にせん妄を引き起こす要因を学び、適切な介入を試みることが重要といえるでしょう。せん妄の種類 せん妄は、Meagherら(2008)3)の症状分類により、過活動型せん妄、低活動型せん妄、混合型せん妄の3つに分類されています。1.過活動型せん妄 過活動型せん妄は、「24時間以内に、運動活動性の量的な増加、活動性の制御喪失、不穏、徘はい徊かいのうち2つ以上の症状が認められた場合」を示しています。 過活動型せん妄に共通していることは、せん妄をきたした患者さんたちの運動性や活動性が増えるうえに、患者さん自身が自分の行動のコントロールがむずかしくなっているということです。 過活動型せん妄の例を、表2に示します。運動活動性の量的な増加の例としては、落ち着きがなくソワソワしている、発話量が増える、声量が大きくなるなどの行動が認められます。また、活動性の制御喪失の例としては、イライラして怒りっぽくなる、暴言や暴力などを認めることがあります。不穏では、運動活動表2  過活動型せん妄と、病棟でよく認められる患者さんの行動運動活動性の量的増加・落ち着きがなくソワソワしている・発話量が増える、声量が大きくなる活動性の制御喪失・イライラして怒りっぽくなる・暴言や暴力を認める不穏・落ち着きがなくソワソワしている・体内に挿入されているチューブ類、点滴ルートや経管栄養チューブ、ドレーン、気管カニューレ、尿道カテーテルなどを引っ張る・抜いてしまう・壁に虫が這っている、だれかの声が聞こえるなどの幻覚や幻聴徘徊・病棟内を歩き回る・自宅に戻ると訴え無理して歩こうとする

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