130021950
13/14

183❶見 る ものを見るためのしくみは、さまざまな機能によって成り立っています(扉絵)。対象物の形態や色調を認識するための視覚機能は、視神経から大脳の視覚野に至る神経回路で支配されており、これが障害されると視力障害や視野障害を引き起こします。 対象物を立体的な像としてとらえることや、動くものに対して眼で追うことに関しては、眼球が目的に合わせて運動し、さらに両方の眼球が協調して動く必要があります。また、眼に入る光量は瞳孔の大きさによって調節されており、光の強さによって速やかに反射が行われなければ、対象物を正常に認識することはできません。 本稿ではこれらの「見るしくみ」について、それぞれの神経回路や障害が起きたときの症状などについて概説します。視覚のしくみ 視覚に関するしくみは、眼球から入る視覚情報を網膜で受容し、後頭葉の一次視覚野に投射されることで、対象物の形や色を認識するように構成されています。その間のいずれかの経路が障害されると、視力障害や視野障害をきたすようになります。とくに、視野障害に関しては、視覚路のどの場所で障害が起こっているかで特徴的な異常所見を認めるため、これを理解するとある程度、症状だけで病変の位置を想定することが可能となります。視覚路(図1) 視覚情報はまず眼球でレンズのはたらきによって上下左右が逆になった状態で網膜に入力されます。網膜からの情報は視交叉で合流し、ここで外側の視野はそのまま同じ側に、内側の視野は反対側に伝達されます。つまり視交叉以降では右側の視野は左側に、左側の視野は右側に伝わるように変換されます。 ここで変換された視覚情報は、視索を通って大脳に入ります。大脳ではまず視床の外側膝状体に入り、視放線を通って後頭葉の1次視覚野に入力されます。視放線内では、網膜上1/4からの線維は、側脳室三角および後角の外側を通り鳥距溝の上部(楔部)に終見ることに関するしくみ

元のページ  ../index.html#13

このブックを見る