130021950
7/14

11❶大脳のしくみとはたらき 私たちの脳は大脳、小脳、間脳、中脳、橋きょう、延髄、脊髄というパーツに分かれています(扉絵)。これらを総称して中枢神経と呼びます。中枢神経のなかでも一番大きく偉そうに(?)しているのが「大脳」です。大脳はさらに大脳皮質と大脳基底核、大脳辺縁系という3つの領域に分類されます。これら三者が絶妙に連携し合うことによって、本書のテーマである「食べる」「座る」「立つ」「見る」などの動作が可能となるわけです。具体的なこれら動きのメカニズムについては各項にて詳しく解説していきますが、ここでは大脳の大まかなはたらきについてお話しします。 大脳皮質とはまさに脳の表面のことです。厚さ2〜3mmしかないこの部分には、神経細胞が6層にも重なって密集しています。細胞がごちゃっと密集しているので、少しくすんだ白い色をしていることから、灰かい白はく質しつと呼ばれています。灰白質より下の領域は神経線維の集まりで、白っぽく見えるため、白質と呼ばれています。 典型的な神経細胞は図1のような形をしていて、上下左右に連なるほかの神経細胞の樹じゅ状じょう突とっ起きとシナプスと呼ばれる結合をし、情報を伝達しています。最近の研究によると、樹状突起には「棘きょく突とっ起き(スパイン)」と呼ばれるトゲのような構造があり、学習に関与していると考えられています。刺激(学習)が少ないとスパインの数が減少するという研究結果も報告されています。本書を手に勉強しているみなさんは、きっと豊富なスパインをお持ちのことでしょう。 大脳の表面は俗に「脳のしわ」と呼ばれるように、文字通りしわしわになっていて、このしわの溝の部分を脳溝と呼びます。脳溝には大きいものから小さいものまでさまざまあり、とくに大きな脳溝によって大脳は4つの部位(脳葉)に分けられ、それぞれ「前頭葉」「頭頂葉」「側頭葉」「後頭葉」と呼ばれています(図2左)。これらの脳葉は単に見た目で分けられているだけではなく、「○○野」という名のさまざまな担当部署に分かれていて、大事なはたらきを担っているのです(図2右)。それぞれの脳葉のはたらきについて、もう少し詳しく見ていくことにしましょう。大脳皮質のはたらき

元のページ  ../index.html#7

このブックを見る