ブレインナーシング 2019年 夏季増刊30糖尿病患者はより厳格な血圧管理が求められる 『脳卒中治療ガイドライン2015[追補2017対応]』では「2型糖尿病患者では血圧の厳格なコントロールが強く勧められている」1)と推奨されています。糖尿病があることにより、虚血性脳卒中だけではなく出血性脳卒中のリスクを1.56倍も高めることが、研究結果で示されているためです。また、『高血圧治療ガイドライン2019』では、「糖尿病合併の高血圧の降圧目標は130/80mmHg未満」2)と記載されています。では、なぜ糖尿病患者はさらに厳格な血圧コントロールが求められるのでしょうか。糖尿病患者は血管がもろいため、厳格なコントロールが必要 高血圧・脂質異常症とともに、糖尿病は生活習慣病の代表の1つとして挙げられます。生活習慣病は、動脈硬化を進行させさらに悪化させます。そして動脈硬化により血管が硬くもろくなり、高血圧という負荷に耐えられず血管が破綻し、脳出血を引き起こします。血管は全身に張り巡らされており、脳出血を起こした血管以外にも、動脈硬化により血管が老化していることが考えられます。そのため糖尿病患者は、糖尿病でない患者よりも血管に負荷がかからないように、厳格な血圧コントロールが必要となります。動脈硬化性冠動脈疾患患者や高齢者においては、降圧にともなう臓器灌流低下に対する十分な配慮が必要ですが、高血圧の治療計画について『高血圧治療ガイドライン2019』では図1のように示Q7糖尿病患者は、ほかの患者と同じ血圧管理をしてはいけない?A糖尿病患者はより厳格な降圧目標が望ましく、130/80mmHg未満が推奨されています。
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