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第1章疾患別のやってはいけない?2 脳出血のやってはいけない?ブレインナーシング 2019年 夏季増刊33として挙げられます。 脳には脳循環自動調節能という、血圧の変動に対して脳血流を一定に保とうとする機能を備えています(図1)。しかし、脳出血や脳梗塞により脳が破綻することで、その機能がはたらきにくくなります。脳循環自動調節能がはたらかないことで、脳循環は血圧により左右されます。血圧が高値であると、脳血流が増大し、頭蓋内圧亢進を引き起こす恐れがあります。そのためにも頭部の挙上は大切です。しかし、ただ頭部を挙上したら良いというものでもありません。患者の負担となるような体位により頭蓋内圧亢進を助長させてしまうことがないよう、頚部が過度な屈曲位となっていないか注意しつつ、患者が安楽な姿勢を考えることが大切です。また、脳出血発症直後は降圧管理も実施しているので、頭部挙上による過度な血圧低下にも注意が必要となります。図1 脳循環自動調節能(文献2より転載)❶.自動調節能が正常、❷.自動調節能が障害され血圧低下にともない脳血流量が低下している。まとめ▶脳出血患者は静脈還流を良好にし、血圧下降による頭蓋内圧亢進を予防するため、上半身を30°挙上します▶降圧薬使用による急激な血圧低下にも注意が必要です1)日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン委員会編.“Ⅲ脳出血”.脳卒中治療ガイドライン2015[追補2017].東京,協和企画,2017,148.2)医療情報科学研究所.“脳動脈と脳血管障害”.病気がみえるvol.7:脳・神経.東京,メディックメディア,2011,60.3)市原多香子.“第2章早期離床と日常生活活動自立に向けた支援技術”.脳神経ナース必携新版脳卒中看護実践マニュアル:脳卒中リハビリテーション看護認定看護師2015年新カリキュラム準拠.田村綾子ほか編.大阪,メディカ出版,2015,298.●引用・参考文献❶❷060平均全身血圧160(mmHg)脳血流量

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