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38BRAIN NURSING 2020年 春季増刊⁃各種ドレナージの管理各種ドレナージは医師の指示のもと厳格に管理されなければいけません。急激な髄液圧の上昇や性状の変化(透明な髄液から血性髄液に変わる)は頭蓋内でなにか起こっている可能性が高いので、すみやかに主治医に連絡します。安静が保てない患者の場合、体位変化により短時間で過剰に髄液が排出されることがあります。場合によってはチューブが断裂することがあり、十分な観察が必要となります。ドレーン刺入部の髄液漏は感染の原因になりますので、縫合処置を主治医に依頼しましょう。⁃脳血管攣縮の対策脳血管攣縮はくも膜下腔の血腫により発症後4〜14日に起こる脳動脈の持続的狭窄と定義され、14日を過ぎると自然寛解します。予後に影響する病態でくも膜下出血発症後14日間を脳梗塞にならないように乗り切る必要があります。脳血管攣縮のサインを見逃さないことが重要です。⁃体液管理脳血管攣縮の予防の観点から水分出納が負にならないように注意が必要で、中心静脈圧によるモニターを行うこともあります。脱水の原因として中枢性塩類喪失症候群が重要で、低ナトリウム(sodium:Na)血症をきたします。抗利尿ホルモン不適合分泌症候群も低Na血症をきたしますが治療法がまったく異なるため、両者を鑑別することが重要です(表2)。⁃深部静脈血栓症の予防破裂脳動脈瘤の急性期は深部静脈血栓症のリスクが高く、さらにドレナ表1●各種ドレナージの目的種 類目 的脳室ドレナージ脳室にドレーンを挿入し頭蓋内圧をコントロールします。おもに水頭症が対象になります脳槽ドレナージくも膜下腔の血腫は脳血管攣縮の原因になりますので、血腫を排除する目的で脳槽にドレーンを挿入します。1日の排液量でコントロールします腰椎ドレナージおもには脳槽ドレナージと同じ目的で、脳血管攣縮の予防に腰椎からドレーンを挿入します。1日の排液量でコントロールします皮下ドレーン皮下の血液を体外に排出する目的で留置されます。たいてい翌日には抜去します

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