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32BRAIN NURSING 2020年 春季増刊概 要脳動脈の壁が弱くなり風船状に膨らんだものを脳のう動どう脈みゃく瘤りゅうといい、破裂するとくも膜下出血をきたします。破裂する前に発見された場合は未み破は裂れつ脳動脈瘤とよび、破裂すると破裂脳動脈瘤(くも膜下出血)とよびます。未破裂脳動脈瘤では将来の出血を予防する目的で、破裂脳動脈瘤に対しては再出血を予防する目的で開頭を行いチタン製のクリップを用いて脳動脈瘤を閉鎖する、つまり血流が入らないようにする手術手技をクリッピング術といいます。適応疾患未破裂脳動脈瘤は、5  mm以上の大きさのものや形状がいびつなものがクリッピング術の適応となります。破裂脳動脈瘤は、すべての脳動脈瘤がクリッピング術の適応となり再出血を防止するために早期の治療(72時間以内)が推奨されています。治療目的未破裂脳動脈瘤では破裂予防が目的であり、破裂脳動脈瘤では救命が目的となります。手術時間脳動脈瘤の大きさや形状により、また破裂か未破裂かでさまざまですが、一般的に3〜6時間を手術に要します。バイパス術を併用したクリッピング術の場合はより多くの時間を要します。術中の体位脳動脈瘤の好発部位である前交通動脈瘤、中大脳動脈瘤、内頚動脈後交通動脈分岐部動脈瘤は仰臥位で行います。椎骨脳底動脈に発生した脳動脈瘤は側臥位や腹臥位で手術を行います。クリッピング術岡山大学大学院医歯薬学総合研究科脳神経外科講師 菱川朋人04

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