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33BRAIN NURSING 2020年 春季増刊開頭手術とケアのポイントクリッピング術104chapter手術を覗いてみよう!ここでは、右中大脳動脈瘤(未破裂)に対する右前頭側頭開頭によるクリッピング術を解説します。1開 頭前頭側頭開頭は脳神経外科手術のなかでもっとも基本的な開頭方法の1つです。右耳介前方から正中に至るヘアラインに沿った半弧状の皮膚切開を設けます。皮膚、側頭筋を翻転、頭蓋骨を露出し、「こめかみ」の部分を中心に前頭側頭部の開頭を行います。「こめかみ」の部分は解剖用語でテリオンとよばれ、前頭骨、側頭骨、頭頂骨、蝶ちょう形けい骨こつの縫合線がH字状に集合するところに相当します。テリオンを中心に開頭を行うことで、前頭葉と側頭葉の間のシルビウス裂を術野の中心にもってくることができます。頭蓋骨を外すとその下には硬膜があり、脳を覆っています。2シルビウス裂の開放硬膜を切開して脳動脈瘤にアプローチしていきます。最近は、脳動脈瘤の手術では運動機能をモニタリングする運動誘発電位(motor evoked potential:MEP)を計測することが多く、硬膜を切開した段階で前頭葉にある運動野の方向に硬膜下電極を挿入します。ここからは顕微鏡を導入して術野を拡大し、専用の手術器具を用いて操作を行います。前頭葉と側頭葉の間にシルビウス裂とよばれる大きな間かん隙げきが存在し、脳動脈瘤はシルビウス裂の中に存在します。前頭葉と側頭葉の表面にはくも膜とシルビウス静脈があります。脳べらを用いて前頭葉をやさしく牽引することでくも膜に適度な緊張を与え、ハサミでくも膜を切離していきます。そうするとおのずと前頭葉と側頭側頭筋テリオン翻転された皮膚硬膜皮膚切開のライン頭蓋骨後方尾側頭側前方くも膜シルビウス静脈側頭葉シルビウス裂脳べら前頭葉

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