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44BRAIN NURSING 2020年 夏季増刊る症候を把握した状態で看護することが重要です。例えば左中大脳動脈に脳血管攣縮を認める症例では右上下肢の麻痺や失語症状に注意して観察しましょう。症候性の脳血管攣縮を発症した場合はカテーテルを用いて攣縮血管をバルーンで拡張する経皮的血管拡張術19)や責任動脈に対してファスジルの選択的動注療法20、21)を行うことを考慮します。急性期において、採血検査は多くの施設で毎日実施されています。採血データの正常化は脳血管攣縮の発生予防につながるといわれています。とくに観察すべき項目はヘマトクリット、ヘモグロビン、ナトリウム、カリウム、アルブミン、総タンパクです。貧血の進行に対しては赤血球輸血、電解質は内服や静脈注射で補正し、可能な限り早期より栄養投与を開始します。低アルブミン状態に対してアルブミン製剤を投与する施設もあります。発熱は転帰を悪くします。炎症値の上昇が術後の影響であるのか、そのほかの原因(誤嚥性肺炎、髄膜炎、ニカルジピンの持続投与にともなう血管炎など)であるのかを見極め、適切な抗菌薬治療を実施することが重要です。くも膜下出血の術後患者には多くのドレーンチューブが挿入されており、髄膜炎の発生リスクも高くなります。また重症例の場合には、長期臥床による深部静脈血栓症の発生に注意が必要です。Dダイマーの上昇を認める場合は、エコー検査や造影CT検査が必要です。呼吸器管理を実施している症例においては血液ガス検査を行い呼吸器設定が適切かを評価する必要があります。高齢者に対する脳血管攣縮の予防治療は心不全を引き起こすリスクがあり、N末端プロ脳性ナトリウム利尿ペプチド(NT-proBNP)の測定が勧められます。くも膜下出血の典型的な画像は、頭部CTで脳底槽に広がるヒトデ状の高吸収域で“ペンタゴン”といわれています(図3a)。全症例で見られる所見ではなく、出血源の部位によりヒトデの足が1本しか写っていないこともあります(図3b)。また、部位によっては採血はなにに気を付ければよいのでしょうか?Q25栄養状態、貧血、電解質を中心に、正常値を目指して日々補正を行います。Aくも膜下出血の画像はなにを見ればよいのでしょうか?Q26発症後の時期によって見るポイントが異なります。A

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