40BRAIN NURSING 2020年 夏季増刊術前管理の注意点くも膜下出血発症後にいちばん大切なことは、再出血を起こさずに外科的治療に移行することです。くも膜下出血の再出血原因の70~80%を占める脳動脈瘤では発症後24時間以内に発生することが多いです1、2)。再出血予防のためには鎮痛と鎮静管理が大切です3、4)。意識が清明な場合は、鎮痛に加えて会話が可能な程度の鎮静に留めることが多いです。重症例では十分な鎮痛と鎮静後に、初療室にて全身麻酔管理を開始することも考慮します。血圧のコントロールも大切です。現時点では明確な基準はありませんが、収縮期血圧160mmHg以上の場合は前値の80%を目標に降圧を開始します。降圧にはニカルジピンを用いることが多いです5、6)。ただし頭蓋内圧が亢進している症例に対して、過度な降圧を行うと脳虚血を増悪させる可能性もあり、注意が必要です。頭蓋内圧亢進をきたしている症例では浸透圧利尿薬を投与することもあります7-10)。また外的刺激を最小限に留めることも重要です。緊急対応時は動静脈路・尿道カテーテル・胃管などの挿入を行うタイミングに注意しましょう。鎮静・鎮痛を行うためには静脈路の確保は必要ですが、そのほかに関しては疼痛刺激を加えることで再出血のリスクを高める可能性があるため、十分な鎮静・鎮痛が得られた後に実施するようにしましょう。手術までの待機期間は暗所での絶対安静も大切です。くも膜下出血の術前管理はどうしたらよいのでしょうか?Q21再出血は予後を悪化させてしまう要因となります。再出血を起こさずに外科的治療に移行することが大切です。A埼玉医科大学国際医療センター脳卒中外科助教 海津 伶同 亀井孝昌同診療部長/教授 栗田浩樹くも膜下出血2急性期治療と看護1
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