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43BRAIN NURSING 2020年 夏季増刊2急性期治療と看護脳血管攣縮くも膜下出血の3大合併症の1つである脳血管攣縮(cerebral vasospasm)は発症後4~14日に起こりやすいとされています。これは血管が収縮する病態です。CT アンギオグラフィー・MRA・血管造影検査などで脳血管の狭窄を認めます(図2)。麻痺や失語などの症候がない場合は無症候性の脳血管攣縮とよび、脳梗塞を合併し症状を有した場合は症候性の脳血管攣縮とよびます。術後4日目以降の管理でもっとも重要なことは、①脳血管攣縮の発生を予防すること、②症候性の脳血管攣縮の早期発見です。急性期治療が無事に終了した場合でも症候性の脳血管攣縮が発生すると患者予後の悪化につながります。予防治療は開頭術の場合、脳槽ドレーンを留置し、くも膜下出血を可及的に除去します。血管内治療の場合は脳槽ドレーンの代用として腰椎ドレーンが用いられることが多いです。脳室ドレーンと脳槽ドレーンを用いて洗浄する脳槽灌流という治療を行っている施設もあります。以前は循環血液量増加(hypervolemia)・血液希釈(hemodilution)・人為的高血圧(hypertension)を組み合わせたトリプルH療法が一般的でしたが11)、現在は正常体液量と心機能を増強させるhyperdynamic療法を行うことが多いです12)。また、内科的治療としてファスジル13)やオザグレルナトリウム14)の全身投与が勧められています。シロスタゾール15)、プラバスタチン16)、シンバスタチン17、18)などの内服を行う施設も多いです。しっかりとした予防治療を実施したとしても症候性の脳血管攣縮は起こり得ます。意識障害が高度の症例では画像検査を定期的に実施することで、早期発見に努めます。責任血管領域で起こり得る症候も異なるため、意識状態が良い症例の場合はあらかじめ起こり得術後4日目以降はどのような管理をするのでしょうか?Q24脳血管攣縮の予防治療を開始します。脳血管攣縮の早期発見に努めましょう。A図2 脳血管攣縮a.脳血管撮影において中大脳動脈に高度の脳血管攣縮を認める。b.ファスジルの動脈注射後に脳血管攣縮が改善している。ab

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