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41OPE NURSING 2016 春季増刊第2章心臓血管外科手術における全身管理体外循環(extracorporeal circulation;ECC)図解・写真でわかる基本の知識図解・写真でわかる基本の知識 心臓血管外科手術において、心臓や大血管を切開または切離して手術する場合や、心臓を虚脱あるいは脱転し血液循環量を強く制限しなければならない場合に、心臓と肺の機能を代行する人工心肺装置を用いて体外循環を行う。D:補助手段埼玉県立循環器・呼吸器病センター臨床工学部部長 染谷忠男 人工心肺の主たる構成は、静脈系(上大静脈・下大静脈・右心房)から血液を取り出す脱血回路、輸液・輸血および脱血した血液と術野出血を回収し一時的に貯留する貯血槽、循環血流量をコントロールする送血ポンプ、血液を加温冷却し酸素加する熱交換器内蔵の人工肺、酸素加された血液を動脈系(上行大動脈・大腿動脈)へ送る送血回路からなる。 送血回路には、回路内に混入した異物や血液凝集物、気泡などを除去するために送血フィルターが組み込まれているが、送血フィルターを内蔵した人工肺を使用している場合は回路に組み込まれていないこともある。 そのほかに通常行われる体外循環では、心筋の過伸展を予防するために左心房あるいは左心室から血液を排出する①ベント回路、術野の出血を回収する②吸引(サクション)回路、心臓に心筋保護液を供給する③心筋保護回路、余分な水分の除去や電解質の補正などを行う④血液濃縮回路を使用する。また、大動脈弓部の人工血管置換術などでは⑤脳分離送血回路が使用される。左鎖骨下動脈へ左総頸動脈へ腕頭動脈へ送血フィルター大腿動脈へ送血フィルター人工肺脳分離送血ポンプ心筋保護液供給ポンプへ熱交換器送血フィルター圧力計心筋保護液心筋保護液供給ポンプ血液濃縮用ポンプ冷温水槽血液濃縮器貯血槽人工肺人工心肺回路ブランケットサクションポンプベントポンプ送血ポンプ①③⑤④②

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