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13OPE NURSING 2016 春季増刊心臓のはたらき第1章C:弁埼玉県立小児医療センター心臓血管外科部長 野村耕司拡張期(基底部から)弁の役割 左右心室の入口と出口にはそれぞれ房室弁と半月弁が合計4つ付いている。弁はきわめて効率よくできており、血流の順行方向には抵抗が少なく、また血流がほんのわずかに逆転しただけで弁は閉鎖する。半月弁 半月弁(肺動脈弁と大動脈弁)はいずれも心室側にへこんだ3枚の半月形の弁からなり、心室拡張期に動脈から心室に血流が逆流するのを防いでいる。半月弁には腱索が付いておらず接続する乳頭筋もない。半月弁を通過する血流速度は速いので開閉に伴う動きは房室弁よりも激しく、それに対応して弁も厚くできている。房室弁 房室弁(三尖弁と僧帽弁)は薄い膜状の弁で、心室が収縮する時に心房に逆流するのを防いでいる。弁の辺縁には乳頭筋から起こる腱索が付いており、心室内圧が高まった時に乳頭筋が腱索を“手綱”として引っ張り、弁が心房側にはみ出るのを防いでいる。収縮期(基底部から)前半月弁右半月弁左半月弁肺動脈弁左冠尖右冠尖無冠尖大動脈弁房室部左冠尖右冠尖右冠尖無冠尖大動脈弁大動脈弁僧帽弁前尖後尖前尖中隔尖後尖三尖弁前尖後尖

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