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OPE NURSING 2017 春季増刊19循環器系合併症循環がうまく機能できない状況を循環器系合併症という。例えば、血圧異常は心臓の問題なのか、血管の問題なのか、はたまた血液(循環血液量)の問題なのか。 心筋虚血が生じれば、当然心臓が収縮しにくくなるので、うまく血液を拍出することができない。結果として血圧低下につながる。不整脈も同じである。リズムよく収縮できないと、心拍出はできない。心停止はその最たるものである。また、肺塞栓症(肺梗塞)などが生じれば、右心室から肺動脈への血流が途絶し、これにより左心室へ流入する血液が減少し、結果として心拍出量が低下してしまう。心停止も同様である。 これらの問題を早期に発見することを可能にするのが、循環モニタリングである。血圧測定により低下や異常上昇、心電図により心筋虚血とリズムの異常を知ることができる。心電図を読み取るためには、まずP、QRS、STとは何を表すのかを理解する必要がある。そして、不整脈や虚血では心電図のどこに異常が示されるのかを知っておこう。 そのほか、尿量、パルスオキシメータやカプノメータにより循環の状態を知ることが可能である。術中における血圧低下の多くの原因は出血にある。術野の出血量をこまめにチェックすることも重要なモニタリングである。モニタリングによる早期発見も重要であるが、何より大切なのがあらかじめ危険を予測することである。術前の患者評価とともに、術式によるリスクも知っておく必要がある。術式であれ患者評価であれ、循環を担っている心臓、血管、血液(循環血液量)への影響を考えることに変わりはない。すなわち、心臓手術や大血管手術、出血量が多くなりそうな手術(肝臓や外傷の手術)では、術式そのものが循環へのハイリスクとなり、患者に心臓、血管、血液(循環血液量)に関する合併症があれば、それもハイリスクとなる。POINT3循環器系合併症の早期発見はモニタリングにあり!POINT4このような手術や患者はハイリスク!
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