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OPE NURSING 2017 春季増刊86G:気胸京都府立医科大学麻酔科学教室教授 佐和貞治◎京都府立医科大学麻酔科学教室/医学研究科 板東瑞樹ブラ・ブレブ、肺脆弱部などの破綻からのエアリークによる肺の虚脱図1気胸とは、胸腔内に空気が貯留して肺を圧排する病態である。胸腔内は肺自体の内向きに収縮しようとする力と胸壁の拡張しようとする外向きの力によって、通常は陰圧となっているが、肺表面が囊胞化したブラ・ブレブの破綻や肺組織の脆弱性、外的要因による肺の損傷などの原因により、胸腔内へ空気の通り道ができることで、その陰圧が解除され肺の虚脱が生じる(図1)。肺組織破綻からのリーク肺の虚脱チェックバルブ(一方弁)機構によって、胸腔内へ空気が貯留するが排出できない状態となると、胸腔内が空気で充満、拡大し、横隔膜を下降、縦隔を圧排していく(図2)。それにより心臓の拡張や静脈還流が障害され、循環動態に致命的な影響を与える緊張性気胸となる。特に、全身麻酔のような陽圧呼吸で呼吸管理されている場合、胸腔内へ空気をさらに押し込む力をかけるためにリークが多くなり、緊張性気胸を起こしやすくなる。肺の虚脱

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