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OPE NURSING 2017 春季増刊210出血素因がある患者や、低栄養状態の患者、術前に抗凝固薬や抗血小板薬を使用していた患者は、術後出血の危険性がある。特に心臓血管外科手術では、手術日より5日以内に内服していた場合や、抗血小板薬2剤内服の場合はさらに術後出血のリスクが増加する6)。凝固因子の異常としては、血友病、von Willebrand病などが有名である。これらの疾患では、普段の生活で自然に粘膜出血、関節内出血、筋肉内出血を起こしている。血小板の異常としては、特発性血小板減少性紫斑病や血小板無力症が有名である。これらの疾患では、皮膚や粘膜からの出血を起こす。術前には既往歴や内服薬の内容をよく確認し、手術数日前には抗凝固薬や抗血小板薬の服用を中止する必要がある。術前評価!だからこの患者はリスク大!術後出血量の増加は、ICU滞在期間の延長や死亡率の増加を引き起こす。そのため、できるだけ術後出血は避けたい。しかし、避けることはなかなか難しいので、出血量が多くならないうちに発見することが大切である。体外への出血の場合は、例えばガーゼの汚染、ドレーンの排液の多さなどから容易に出血が発見できる。特に術後24時間は注意深く患者を観察しよう。ドレーンの排液は、手術直後は血性から淡血性であることが多い(図4)。術中の洗浄液(生理食塩水)が含まれているため、排液は多めである。術後3日目くらいからは、少し淡い色調になっていく。この排液が急に赤くなってきた時は、胸腔内出血や腹腔内出血の可能性があるので、すぐに医師に知らせよう。また、胃管を入れている場合にも、排液が急に赤くなってきた時は消化管吻合部からの出血の可能性がある。体腔内への出血の場合は、低血圧の持続、血圧低下の傾向、心拍数の増加、尿量の減少(乏尿)などの循環血液量減少による徴候から発見されることが多い。そのほか、顔面蒼白、呼吸促進、不穏などの一般的な非特異的症状が見られることが多い。また、腹部や背部に皮下出血斑が見られる時は、出血が皮下にも広がっている徴候である。このような出血斑が見られたら、術後出血は早期発見が大事!体外への出血の場合は発見しやすい!体腔内への出血は循環血液量減少による徴候から発見されやすい!
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