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①熱傷治療第   章2OPE NURSING 2017 臨時増刊   63手術の流れと介助のポイント31手術進行における留意点、器械出しの注意点熱傷創の多くは、滲出液を伴った湿潤環境にあり、細菌がきわめて増殖しやすい創部である。そのため術前にどれほど創部の消毒・清浄化処置を行っても、決して清潔術野とはなり得ない。外科医、器械出し看護師はともに常に汚染創に接触しているとの共通認識を持って、手術の要所ごとに適時手袋を取り替えるなどの対応が重要である。植皮部の細菌感染は、植皮生着率を低下させる最大の要因であることは理解しておく。2手術の流れ熱傷に対する外科治療は、患者の重症度、手術時期、再建部位、再建方法等で変わり、それぞれのステージで、デブリードマン(壊死組織除去)や人工真皮貼付、植皮術(全層、分層、シート、メッシュ)や皮弁作成術、培養表皮移植、ときに四肢切断等も行われる。ここではその外科手技の中心となるデブリードマンと植皮術について述べる。1.植皮部のデザイン(デブリードマンの範囲の決定)a:腋窩深達熱傷:黄白色の壊死組織が固着しているのと出血を伴うびらんが混在している。b:顔面深達熱傷:気管切開チューブの設置(左)とエステティックユニットに一致させた植皮術が行われている(右)。深達熱傷創では、固着した壊死組織や出血を伴うびらんが混在するが、個々の症例に応じて拘縮を解除しデブリードマンを正確に行うことで、植皮部のデザインが決定される。とくに顔面のような特殊部位の植皮では、植皮の境界線を顔面の皺や髪の生え際などに一致させ、いくつかのパートに分割したエステティックユニットごとに再建することが重要で、手技の邪魔にならないように術前から気管チューブの位置、固定や気管切開チューブ設置位置の配慮も求められる1)。ab

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