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はじめに形成外科の手術対象は全身に及び、脳を含む内臓臓器以外のすべてを扱うといっても過言ではありません。扱う組織も皮膚にはじまり、皮下脂肪、筋肉、腱、軟骨、骨、血管、リンパ管、神経など実に多彩で、これらを移植し、治療する部位を再建し、ときに造形を目指します。外科手技も切開、剥離、止血、縫合といったきわめて外科の基本的な手技を行っているだけなのですが、その結果まさに失われたものが修復され、変形したものが正しく整復されます。手術は常にチームで進みます。手術医師、看護師、麻酔医師の連携がとれていてこそよい手術治療を進めることができると誰もが思っています。では、本書のタイトルである手術看護をパーフェクトに進めるにはどのように準備したり考えることが必要でしょう。看護の基本に立ち戻ると、看護師に求められるのは知識、技術、コミュニケーション能力です。本書では、形成外科手術の頻度が高く、重要な手術を取り上げています。まず、担当する手術が必要となる病態を考え、これを治療する手術と手術の流れを学んでください。これで知識が得られます。さらに手術と手術の進行を思い浮かべて、どのような器具と介助が適時に必要かをイメージしてください。これで技術が大いに発揮しやすくなります。そして、チームでの良いコミュニケーションや患者さんへの配慮を尽くしましょう。本書は、これらの手術看護の要点を示してくれます。本書によって、チームでの患者さんのための良い治療が進み、看護を担当する誰もが理解しながら進む手術看護にやりがいを感じてもらえることを、心より願っています。2017年8月21日関西医科大学 形成外科 教授 楠本 健司

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