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オペナーシング 2018年 春季増刊3 術中およびその前後の周術期にはいろいろなトラブルが発生します。それらは早期に対応しないと命に関わるものから、手術患者の個人的なものまでさまざまです。 本書は周術期に起こりうる代表的なトラブルを症例の形で提示し、適宜読者に考えながら読み進めてもらえるように編集しました。興味のある症例から、「自分ならこうするな」とか「このトラブルにはこう対応すればよいのか」など考えながら読んでください。 こうして知識を得ても実際には自分1人では対応することができません。ある程度知識に自信がついたらぜひ施設内で症例形式のシミュレーションを行ってください。患者役、看護師役などを分担し実際の手術室で行ってみましょう。看護師だけでもよいですが、麻酔科医や初期研修医、薬剤師など他職種にも参加してもらうとさらによいでしょう。 例えば、悪性高熱症にダントロレンが有効と知っていても、「手術室のどこにあるの?」「足りなくなったら薬剤部には何本常備してあるの?」などを確認することは大事です。もしかしたら院内にはダントロレンは常備されていないということがわかるかもしれません。 シミュレーション後のデブリーフィング(振り返り)ではこうした問題点を明らかにし、実際にトラブルが発生した時にはスムーズに対応できるように対策を考えておきましょう。 一方、本書の中では麻酔導入前のブリーフィング(話し合い)を推奨しています。ブリーフィングとデブリーフィングは学生の頃の予習・復習と似ています。次に起こりえるトラブルを予想し対策を他職種で共有しておき、何かあったら事後に振り返ることで次の症例ではよりよい対応を取ることができるようになります。本書の症例がすべてマスターできたら、自分の施設での症例を使ったオリジナルのシミュレーションも考えてみましょう。 チームとしての周術期管理に本書が少しでも寄与することが編者としての願いです。2017年クリスマスの季節に編者のことば宇部興産中央病院麻酔科部長森本康裕

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