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監修者のことば 私が編集したポケット版解剖学入門書『オペナースのための毎日使える解剖図カラーイラストブック』(2011年発刊)は、主な手術疾患の解剖学的知識を、わかりやすいイラストでコンパクトにまとめた1冊で、オペナースの皆さんからは、器械出し看護のときの解剖が理解しやすいとたいへん好評でした。 しかし、「術式別に処理すべき血管や神経などを重点的に示してあると、もっとわかりやすい」「術野をのぞいたときに見える手術部位へのアプローチ方法について、イラストや写真で見たい」「手術操作ごとにどのような縫合糸やデバイスで処理しているのかがわかると、実践につながる」「X線やエコーなどの他の画像と一緒に術野が理解できると、器械出しがもっと容易になる」などの要望がありました。 そこで本書では、手術上手で教育熱心な全国の先生方に執筆していただいて、消化器外科、整形外科、心臓血管外科、脳神経外科、呼吸器外科、泌尿器科、産婦人科、耳鼻咽喉科、眼科の手術について、単純な解剖図だけでなく、より手術に特化したイラストを多数掲載しました。さらに、術式ごとに術野のイラストとともに術中写真、CT・MRI・エコー画像なども加えて、より詳しく解説する「手術の“イイトコ取り”解剖図」の1冊としてパワーアップしました。 器械出し看護師が術野を見て、次に求められる器械・器具は何かを先読みできると、手術はよいリズムで進みます。近ごろは内視鏡外科手術が増加したため、オペナースも液晶モニターで術野を確認できる機会が圧倒的に増えており、先読み力が発揮される場面も多いです。そして実は外回り看護、麻酔介助においても、解剖・術野を把握していれば先読みにつながるのです。器械出し看護をスタートしたばかりの新人ナースであっても、術野をのぞき込むときに、「どこに何の臓器・血管・神経があり、どんな注意が必要か」「どの膜をめくったら、どの神経がどの角度で見えるのか」など、つまずきがちなポイントを解消できます。 この1冊で、主な診療科の手術に必要な解剖は網羅できていると思います。本書が手術室の毎日の看護のお役に立つことができれば幸いです。平成30年8月1日東京医療保健大学副学長・医療栄養学科長 小西敏郎
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