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 「整形外科の直接介助は面倒で難しい」と手術室でよく聞く。その理由は、整形外科の手術は種類が多い、整形外科は器械が多い、整形外科の手術は覚えてもすぐ変わる。本当だろうか? 厚生労働省の社会医療診療行為別統計の2018年6月分の調査では、この1カ月間に行われた手術は172万件、種類は約3,000項目である。このうち筋骨格系・四肢・体幹の手術が19万件行われ、その種類は615項目である。一方、外科が取り扱う腹部外科全体は22万件行われ、その種類は383項目となっている。「やっぱり、種類が多いじゃん!」 整形外科の手術ではインプラントが使われることが多い。整形外科は再建外科なので、障害で一部をとれば、それを補填することが必要となる。また外傷である骨折の様態も変化した。超高齢社会となった日本では骨折の多くが、骨粗鬆症が原因の骨脆弱性骨折である。骨折は骨の端近く(骨幹端や骨端)で起こり、しかも骨は弱い。これを固定するのに部位別のプレートなどが進化した。同じ橈骨の骨折用のプレートでも、橈骨頚部用、橈骨骨幹部用、橈骨遠位用、果ては橈骨遠位の関節内骨折専用のものまである。「やっぱり、器械が多いじゃん!」 整形外科手術の進歩は速い。手術の進歩が速いのか、手術器械の進歩が速いのかは議論のあるところではあるが、ここ数年で一般的になったものだけでも、リバース型人工肩関節置換術、鏡視下腱板修復術、内視鏡下腰椎椎間板摘出術などがある。リバース型人工肩関節では骨頭と肩甲骨の形が従来とは反対になっている。「やっぱり、覚えてもすぐ変わるじゃん!」 整形外科手術で変わらないものは何だろうか? 変わらないのは人体であり、そこに起こる疾患である。本書で変わらない機能解剖を学び、部位別の疾患を知る。そして疾患別の術式チャートをさっと見れば、あなたの頭は整理される。それから個々の術式に当たる。それらを読むには手術時間ほどはかからないだろう。そういう仕組みになっている。 本書が整形外科手術のプロを目指すオペナースの助けになることを願っている。大江隆史 NTT東日本関東病院 手術部長・整形外科部長編者のことば2OPE NURSING 2019 秋季増刊

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