半月板は血流に乏しいため損傷状態によってはやむなく部分的に切除する場合があるが、可能な限り温存して縫合するように努める。縫合方法には各種あり、大きく分けて関節内だけでの処置と関節外に切開を加えて行う方法があり、症例に応じて選択され、それぞれさまざまな道具を使用する。鏡視下縫合術鏡視下部分切除術半月板損傷手術を要する靱帯損傷のうち、最も頻度が高く重要なのは前十字靱帯損傷である。靱帯付着部の骨折やごく一部の症例を除き、靱帯再建術が行われる。再建靱帯には自家腱が選択されることがほとんどで、半腱様筋腱や骨付き膝蓋腱が用いられる。鏡視下前十字靱帯再建術靱帯損傷大腿骨、脛骨、膝蓋骨それぞれにさまざまな骨折形態があり、状態に応じて手術方法が選択される。なかでも膝前面にある膝蓋骨は直接打撲などで骨折する頻度が高い。膝蓋骨骨折に対する観血的整復固定術骨折小範囲の損傷であれば骨髄刺激法（軟骨下骨にドリルなどで小さな穴を開けて軟骨様組織の再生を促す）が行われるが、ある程度の大きさでは自家骨軟骨移植術（膝関節内の荷重がかからない部位から骨軟骨柱を採取し軟骨損傷部に移植する）や自家培養軟骨移植術（関節内から採取した少量の軟骨を培養して後日移植する）が選択される。自家骨軟骨移植術骨髄刺激法軟骨損傷自家培養軟骨移植術（2）部位別の疾患別術式チャート膝B富山大学附属病院 整形外科診療准教授 下条竜一変形の程度や年齢などによって術式を選択する。変形が一部にとどまっている場合は高位脛骨骨切り術や人工関節部分置換術が選択されるが、変形が広範に広がっている場合は、人工関節全置換術を行う。高位脛骨骨切り術人工関節置換術（全置換術、部分置換術）変形性膝関節症17OPENURSING 2020 春季増刊第章1下肢手術の解剖＆手術の基礎知識
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