消化器内視鏡外科手術A:食道・胃第2章68 OPE NURSING 2021年 春季増刊胸腔鏡下食道がん手術胸部操作は腹臥位で胸腔鏡下に行い、食道と周囲のリンパ節を切除する。腹部操作は仰臥位で、胃上部と周囲のリンパ節を切除する。また、頸部操作では、頸部のリンパ節を切除し、頸部食道を露出する。胃の切除後、胃管を作製し、頸部操作でリンパ節を切除した後に胃管を頸部まで持ち上げ、頸部食道と吻合する。右胸腔ドレーンを留置、頸部吻合部近傍に皮下ドレーンを留置する。経鼻胃管減圧チューブや術後栄養目的の腸瘻チューブを空腸に留置する。切除前切除後この術式のDATA手術時間:7~8時間(内、胸腔鏡操作3~4時間) 出血量:100mL以下/輸血無麻酔方法:全身麻酔+硬膜外麻酔 術中ローテーション:有 術中体位:腹臥位→仰臥位ドレーン:右胸腔ドレーン、頸部皮下ドレーン※、腹腔ドレーン※(※留置しないこともある)胸腔鏡下食道がん手術ってどんな術式?あんしんポイント 食道がんの手術は、胃の上部を含めた食道の切除と、頸部・胸部・腹部の3領域のリンパ節郭清を行う。食道はリンパの流れが豊富で、広範囲にリンパ節転移をきたしやすいので、頸部・胸部・腹部のリンパ節郭清を行う必要がある。あんしんポイント 胸腔鏡下食道がん手術には、従来の右開胸手術に準じた左側臥位で行う術式と、腹臥位で行う術式がある。最近は、腹臥位で行う施設が多く、ロボットを使用することもある。本稿では、腹臥位胸腔鏡下食道切除術について解説する。あんしんポイント 食道切除後の再建は一般的に胃管を作製し、挙上して頸部食道と吻合する。再建経路には後縦隔、胸骨後、胸壁前の3ルートがあるが、通常、後縦隔か胸骨後経路で行われる。筆者は、距離が短く、生理的な経路である後縦隔再建を行っている。12321ドレーン留置位置食道胃管がん切除範囲経鼻胃管減圧チューブ気管挿管チューブ頸部皮下ドレーン腸瘻チューブ右胸腔ドレーン#内視鏡外科ことば:オプティカル法1)第1トロッカーは直視下に小開腹や開胸を行い、挿入するが、手技は煩雑で、肥満症例では難渋する。オプティカル法は、内視鏡を装着したトロッカーの先進部の映像を観察しながら挿入する方法で、体型に左右されず、比較的簡便に挿入できる。
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