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編者のことば前田晃史市立ひらかた病院 看護学修士 救急看護認定看護師・消化器内視鏡技師 手術室へ異動したのは3年前でした。手術看護未経験の私がまず感じたことは「これまでの看護経験が生かしづらく、イチから学ぶことが多い部署」でした。エネルギーデバイスを含めた器械・器具、ジェネレーターや内視鏡システムなどこれまで見たことないものばかり。さらに、術者によって手技や使用物品も異なるため、基本に加えて各術者に合わせた介助が必要であり、心身ともにぐったり疲れる日々でした。 多くの施設と同様に、当手術室の教育は難易度が高くない手術から開始し、段階的に難易度の高い手術の器械出しを行います。当手術室にはピッキングリストとマニュアルがありますが、最初は何が書いてあるかチンプンカンプンというのが正直な感想でした。手術の流れと物品の使用順は説明されていますが、リストにある物品の名前と実物が一致しないし、手術室特有の用語が多くて理解できませんでした。また、マニュアルと実際の手術では時間の流れる速度が異なり、ほぼ同時に進行する手技がある一方で、かなり時間的余裕のある手技もあり、そのことが理解できず術中はずっと緊張していました。そのため、次に使う物品がどのタイミングで必要なのかがわからず、ずっと握っていたのを覚えています。もちろん何度も経験すれば慣れてできるようになると思います。しかし、新人看護師には、私が経験した緊張や不安をできるだけ軽くして手術に挑めるような教育を心がけています。本書では、術中の時間の流れや介助のタイミングを理解できるように、腹腔鏡下胆囊摘出術のシミュレーション動画を7つの場面で紹介しています。だだし本web動画に関しては、各施設の取り決め、医師の手技によって異なりますので、一例としてご覧ください。 新人看護師の器械出し業務の緊張・不安の緩和だけでなく、手技に慣れてきて「なぜ、そうするの?」と感じたとき、外回り業務が始まったとき、プリセプターなどの教育者が根拠を示して指導するとき、さらに手術室全体の業務改善を考えるときなど、新人看護師だけでなく、教育者、役職者まで役立つ内容です。すべての手術室看護師のガイドになればうれしいです。OPE NURSING 2021年 春季増刊 3

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