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123Neonatal Care 2016 秋季増刊第3章換気モードを正しく学んで苦手意識をふっとばせ!まずはモードをがっちり学習1IMV⃝赤ちゃんに使われる基本のモード2end-expiratory pressure;PEEP)は、それぞれ人工呼吸器から送り出す吸気時の圧力と、呼気後の圧力を示しています(「肺の状態と圧とフローの波形」、p.121参照)。PIPを高く設定することは、肺を膨らませる圧力を上げることなので、1回換気量を増やして、血中二酸化炭素分圧を下げます。一方、過剰なPIPは容量損傷(肺を膨らませ過ぎることによる肺のダメージ)を起こすため注意が必要です。後述する目標1回換気量に合わせて設定し、赤ちゃんの状態に応じて微調整します。 適切なPEEPは肺の虚脱を防ぐことができます。虚脱とは、肺を風船に例えた場合、風船が完全にしぼんでしまうことです。膨らんでいた風船が一度完全にしぼんでしまうと、もう一度膨らませるのに思い切り吹き込まなければいけないのと同じで、肺も一度虚脱すると、膨らませるために高いPIPが必要になることがあります。その際に肺にダメージを与える可能性があります。また、高過ぎるPEEPは胸腔内圧を上昇させるため、その結果として全身から胸腔に戻ってくる静脈血液量(静脈還流量)を減らすため、静脈血をうっ滞させたり、心拍出量を減らしたりするなど、血液の循環にも影響を与える場合があります。このように、新生児においては呼吸と循環には密接な関連があり、適切な呼吸管理を行うことが、安定した上手な循環管理を行うための必要条件です。3)吸気時間(Ti)、呼吸回数(RR)、定常流の速度(Flow) 吸気時間(inspiratory time;Ti)は、人工呼吸器から赤ちゃんに向かって空気や酸素を送り出す時間です(「肺の状態と圧とフローの波形」)。Tiは短過ぎると、設定したPIPに到達しない、十分な1回換気量が得られないということになります。 1分間に何回呼吸させるかを設定する項目が呼吸回数(respiratory rate;RR)設定された酸素濃度(FIO2)設定された定常流(Flow)口元のフロー挿管チューブ圧センサー赤字:設定パラメーターフローセンサー口元の模式図
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