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163Neonatal Care 2017 秋季増刊第2章赤ちゃんの環境を整える8【苦痛の緩和・安楽確保】ポジショニング●肩甲帯の挙上と後退をきたしやすいため、肩甲帯の下制と前進を支援する 肩が外転すると、手を口に持っていく妨げとなりやすい状態になります。腹臥位で体幹を前胸部で支え、肘関節が下垂すると肩甲の下制・前進が見られ、手を口に持っていくという行動が助長されます(図5)。 手を顔や口に持って行こうとする自己調整行動を支援する姿勢の維持が大切です。●頸部と体幹が伸展位となりやすいため、頸部の軽度屈曲位と骨盤の後傾を保持する 早産児は、仰臥位では頭部は横に向き、耳介が床面に接触する不良肢位に陥りやすい状態です。そのため、頭部が真横を向かず、やや横を向く程度に保持できることも良肢位保持の視点から大切なポイントとなります。 また、日常から屈曲正中位を維持し、骨盤の後傾を認めていることが重要です(図6)。 腹臥位では、特に骨盤で重力の影響を受け、骨盤の位置が低くなりやすい状態です。骨盤の後傾を保持するためには、股関節と膝関節が外転せず正中位にあり、下肢が屈曲位を保持していて、足底が殿部と一直線上に位置して中間位にあることが大切です(図7)。 早産児の周囲を取り囲み、身体への接触面を多くした自然な屈曲位姿勢をとり、姿勢の安定を促すことが大切です(図8)。早産児を拘束したり動きを抑制したりするのではなく、筋骨格系の正常な発達のために、自発的運動が可能な状態であることが求められます。●足関節の過伸展や過回旋をきたしやすいため、足関節の中間位を保持する 早産児は、大腿部や膝関節が外転しやすいことや、出生後、治療のためにセンサーの装着、点滴ルートの固定などの影響により、足関節の過伸展や過回旋につながりやすい状態にあります。足関節への観察や配慮が不足すると足関節の過伸展や過回旋をきたしやすくなります。下肢の屈曲正中位を維持して、足関節の中間位を保持することが大切です(図9)。早産児の体位(腹臥位)図5ポジショニングのポイント(骨盤の後傾)図6

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