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191Neonatal Care 2017 秋季増刊第3章赤ちゃんの栄養管理1【食事援助】哺乳瓶授乳ため哺乳瓶の角度を傾け過ぎないなどの工夫が必要です7)。側臥位(直接授乳の横抱きに近い)の姿勢で哺乳することも、むせ込み予防に役立ちます(図1)。また、心不全や慢性肺疾患などのために努力呼吸のある新生児には、2〜3回吸啜したあと、休憩のため哺乳瓶をはずしたり、乳汁の流れを止めるような角度にしたり、スペシャルニーズフィダーⓇを使用して乳汁移行量を調節することも有用です2)。スペシャルニーズフィダーⓇは、もともと口唇口蓋裂により吸引圧を形成できない赤ちゃんのために設計された製品です。赤ちゃんが乳首部分を圧迫することで、母乳が出るように作られています。逆流防止弁があり、母乳が溢れ出るのを防ぎます。スリットの入った乳首によって、母乳の流出量を簡単に調整できます10)。 どのデバイスを選択しても、児のストレスサインに注目し、無理な哺乳はしないこと、児の飲みたいサインに合わせて、快適で安全な哺乳を行うことが必要です。児が心地良く抱っこされ、リラックスできる環境を作ること、哺乳の時間が単に栄養摂取の時間としてだけでなく、大切なコミュニケーションの場、発達を促す機会であることを意識して援助することが必要だと考えます。直接授乳と哺乳瓶授乳 直接授乳の場合、哺乳はじめのリズミカルなNNSが、射乳反射を誘発します。射乳反射によって乳汁が分泌されるまでの間は、ほとんど乳汁を摂取していません。乳汁が口腔内に入ってくると、吸啜はゆっくりとしたリズムのNSとなります1)。乳汁が咽頭蓋谷に貯まると、舌が後方に動き軟口蓋を圧迫、咽頭蓋が気管をふさぎ、食道へと乳汁が流れます。乳首は伸展し、より後方に乳汁が流れるため、直接授乳では嚥下しやすいのです11,12)。一方、哺乳瓶授乳では、哺乳開始から絶えず口腔内に乳汁が流れ込むため、嚥下が追い付かず、むせ込みや酸素飽和度低下の要因となります。直接授乳と異なり、乳首の形態が変わらず口唇のシール(口唇を乳首の周囲に密着させて空気がもれないようにする)が効きにくいことに加え、頰の内側の脂肪組織(脂肪床)が薄い早産児では口腔内に隙間ができるため、口角から乳汁がこぼれやすく空気も飲みがちです1)。哺乳時に頰や下顎を支えることにより口腔内の陰圧を高めやすくすることは、飲みこぼし予防に効果があります。直接授乳と哺乳瓶授乳の特徴を理解し、児に合わせた支援を行うことが必要です。

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