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Neonatal Care 2018年 春季増刊  157注意すべき症状・所見を知ろう!②血液ガスの異常第3章2.酸塩基平衡とはヒトが生命を維持するためには、血液の酸性・アルカリ性のバランスが常に適正な範囲に保たれる(酸塩基平衡が保たれる)必要があります。日々の食事や活動に伴う代謝により、体内では常に酸が産生されており、何もしなければ酸性に傾いてしまいます。そこで肺や腎臓が調節を行い、酸塩基平衡を保っているのです。酸性の強さは水素イオン(H+)濃度により決定されますが、実際のH+濃度で表現すると数値の変化が分かりにくいため、H+濃度の逆数を常用対数にしたpHで酸性の強さを表します。☆pH=-log(H+)図2  2)を見てください。食事や代謝により体内で急に酸H+が増えた場合、重炭酸イオン(HCO3-)はH+と結合することでH+の急激な変化を防ぎます(緩衝作用)。発生したCO2は肺から排泄され、腎臓ではH+排泄とHCO3-再吸収を行います。このように生体内のH+濃度を狭い適正範囲内に保つため、肺と腎臓による絶妙な調節がなされているのです。CO2とHCO3-のバランスでpHが決定されるという理論から、Henderson-Hasselbalchの公式を用いてpHは次の式で求めることができます。☆pH=6.1+ log[HCO3-]0.03×pCO2 ←代謝性因子(主に腎)←呼吸性因子血液の正常pHは7.35~7.45で、pHが適正範囲を超えて酸性に傾くことをアシデミア図2 生体内のH+濃度を保つ調節(文献2を元に作成)肺食事細胞内代謝H+H+H+H+H+の排泄とHCO3-の再吸収腎臓アルカレミアアシデミア7.4(適正)pHH2O+CO2H2CO3CO2CO2CO2CO2の排泄+HCO3-

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