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増谷 聡埼玉医科大学総合医療センター小児循環器科准教授はじめにはじめにNeonatal Care 2018年 春季増刊 3 “はじめてでもよくわかる!”新生児循環管理の増刊号を皆さまの元へお届けいたします。循環に苦手意識を持っているかもしれない、新人の看護師・研修医の皆さんを念頭に置いて、執筆陣・編集部の皆さんとともに「わかりやすく」に趣向を凝らしました。これから赤ちゃんの循環を学び始める皆さんにとっても、「循環っておもしろい、わかりやすい」と思っていただける内容を目指しています。 早産児は、生後の適応、動脈管開存症、晩期循環不全と、「循環」をキーワードとしたハードルを越えながら成熟していきます。先天性心疾患や他の病態も、それぞれのポイントを押さえれば基本は同じです。生後の時間経過とともに、肺に血液が流れやすくなること、放っておくと(開いていて欲しい)動脈管は閉じようとすることを頭に置いて、時間軸の中で児の管理を考えていきましょう。循環は、呼吸・栄養・他と密接に関連します。良好な予後につなげるため、心臓だけでなく循環全体を、循環だけでなく体全体をみていきましょう。 今回、最前線で新生児医療現場を支えておられる、新しい世代の先生方にも多くの執筆をお願いしました。考えながら熱心に診療している医師ならではの視点が豊富に盛り込まれた、とても魅力的な原稿を仕上げていただき、本当にうれしく思いました。 本書は「これから始める人」だけでなく、実は、熟練した看護師・新生児科医師の皆さんにもおすすめです。マニュアル通りに治療を開始しても、皆がすんなり良くなるわけではありません。立ち止まって、再評価して、次に進む必要があります(PDCAサイクルですね)。そんなときのヒントも、たくさん散りばめられています。 新生児領域には「not doing well」という概念が残っています。これを捉えられる目も大切にしたいと思います。本書のキャラクターの、ぽぽろ先輩の話(213ページ)は、当時医師になって4年目で新生児を担当していた私と、先輩ナースの間に実際にあった出来事をもとにしています。そうした、「児をみる目」を養いながら、個々の最適な循環管理を求めていけば、児の予後はさらに改善するものと確信しています。2018年1月
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