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医療用酸素一般名低酸素の補正。特に、肺換気血流不均等による肺障害時の低酸素に対して、効果的です。適 応呼吸障害改善に使用する酸 素2薬理作用・副作用 肺血管を除くほとんどの血管は低酸素により弛緩し、酸素により収縮します。動脈管では、その収縮の程度が他の血管に比べ非常に大きく、出生後の酸素分圧上昇が動脈管収縮の大きな要素と考えられています。酸素分圧の上昇によって動脈管が収縮する機序は細胞膜電位が上昇し、細胞内カルシウム濃度が上昇し、血管収縮を起こすことですが、その細胞内調節機序についてはまだ議論があります。過剰な酸素分圧の上昇は、早産児に関わらず、正期産児でも網膜血管の収縮を起こします。未熟児網膜症(ROP)発生が新生児への酸素毒性の一番大きなものです。 過剰酸素投与の厳密な定義は決まっていません。動物実験では、出生直後蘇生の間の吸入酸素80%の使用でさえ23%の酸素吸入に比べ、キセノンクリアランスで見た脳血流が低下することが分かっています。このことから基本的には、正期産児の出生時の蘇生では21%酸素の使用が推奨されています。 低酸素虚血負荷後などの脳血流自動調節能が破綻した際の適切な酸素投与については不明です。過剰な酸素は、低酸素虚血による活性酸素種、フリーラジカル産生増加に関わるでしょう。低体温療法はエネルギー消費を低下させることを大きな目的に実施されていますが、このような条件での適切な酸素投与も不明なままです。 低酸素性肺血管攣縮とは、肺胞気酸素分圧が低下した場合、その肺胞に隣接する細動脈の血管平滑筋が収縮する現象で、ガス交換の効率の悪い(換気血流比の低い)肺胞への血流を低下させることで、肺内シャントを減少させ、低酸素血症の増悪を抑えようとする生理的な反応です。しかし、その範囲が広範になると肺高血圧が生じます。低酸素は、新生児遷延性肺高血圧症(PPHN)における大きな発症および増悪因子です。ナースに知っておいてほしいポイント ほとんどの薬と同様に、酸素は効果的な作用とともに、副作用が生じます。それゆえ、注意して使用する必要があります。たとえ一過性の短時間の使用であっても、薬の処方箋と同様、酸素投与指示と酸素使用の記録がされるべきです。 薬物血中濃度モニタリング(TDM)と同様、血液ガス測定による酸素分圧測定が大切です。パルスオキシメーターによる、酸素飽和度からの動脈血酸素分圧推定は持続的に行えるメリットもあるものの、同じ酸素飽和度を表示した際に動脈血酸素分圧の誤差が非常に大きく、酸素投与の厳密なさじ加減には適しません。引用・参考文献1) Bohnhorst, B. et al. Arch. Dis. Child. Fetal Neonatal Ed. 87(3), 2002, F217-9.2) Chow, LC. et al. Pediatrics. 111(2), 2003, 339-45.3) Tin, W. et al. Semin. Neonatol. 7(5), 2002, 361-7.投与方法経気道的に吸入します。基本的には60%以上の吸入酸素濃度は、過剰酸素投与の危険があります。鼻カニューラによる酸素投与は安価で容易に利用しやすいですが、吸入酸素濃度は呼吸による変動が大きいです。一般的には、ヘッドボックス内、保育器内、人工呼吸回路内で、より厳密な吸入酸素濃度設定が求められます。少なくとも一日1回以上の酸素濃度計の校正が必要で、供給酸素の加湿は体温管理上も重要です。60  ネオネイタルケア 2018 秋季増刊

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