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在胎28週未満で生まれた超早産児では、出生後早期やストレス下において、しばしば低血圧が見られます。超早産児の低血圧は、対応が遅れると主要臓器の血流低下からショックの病態に至ることがあります。特に脳血流低下から脳室内出血(intraventricular hemorrhage;IVH)や脳室周囲白質軟化症(periventricular leukomalacia;PVL)などが引き起こされると、神経学的予後に影響を与えるため、低血圧の原因を正しく理解して適切な治療を行うことが重要です。  超早産児の低血圧の主な原因は、未熟心筋の障害による心不全です(図)1)。超早産児の未熟な心筋は伸縮性に乏しいため、前負荷(静脈灌流量など)や後負荷(血管抵抗など)の変化に対してうまく調節ができず、容易に心不全に陥ります2)。出生直後は、血管抵抗の低い低血圧もしくはショック新生児の循環器疾患のくすり1東京女子医科大学母子総合医療センター新生児医学科准講師増本健一 ますもと・けんいち3章血管抵抗の高い新生児循環未熟な心筋低カルシウム血症陽圧換気未熟児動脈管開存症・血管拡張・出 血・血管漏出循環血液量減少低血圧心拍出量低下・絨毛膜羊膜炎・新生児仮死・脳室内出血・壊死性腸炎など血管抵抗の低い胎盤循環図超早産児の低血圧の病態(文献1を元に作成)内外のさまざまな要因により、未熟な心筋は障害され、心拍出量が低下する。また、血管拡張や出血、血管漏出を伴うと循環血液量が減少する。これらの結果、血圧は低下する。78  ネオネイタルケア 2018 秋季増刊

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