130041851
9/16

呼吸窮迫症候群、慢性肺疾患12章新生児の呼吸器疾患のくすりする病態です。肺サーファクタントは、肺胞のⅡ型肺胞上皮細胞という部位で産生されます。Ⅱ型肺胞上皮細胞は、妊娠24週前後より分化し、肺サーファクタントは妊娠28週前後から肺胞内へ分泌され、在胎34週ごろから産生量が増えるといわれています1)。従ってRDSは、妊娠34週以下の早産児に多く発症します。ただし、仮死児、多胎児、母親が糖尿病の児、男児は、RDSになりやすい要因であり、妊娠34週以降でも注意が必要です。2.診 断  症状、マイクロバブルテスト、X線所見の3つで診断します。症状は、呻吟・陥没呼吸・チアノーゼなどの呼吸障害で特別な症状ではありません。 マイクロバブルテストは、胃の中に飲み込んでいる羊水(胃液)にどれだけ肺サーファクタントが含まれているかで、RDS の重症度を予測・診断するものです。胎内の児は、羊水の中で呼吸に似た運動をしており、肺サーファクタントは、羊水中に分泌されています。肺サーファクタントは、せっけんと同じ界面活性物質であり、量が多いほど胃液が泡立つので、その程度で肺サーファクタントの分泌量を見る検査になります。 X線所見は、気管支透亮像(air bronchogram)という気管支の空気が見えている所見が特徴的です。肺胞が膨らんで空気がたくさんあるときは見えない気管支の空気が、肺胞が膨らまないことで見えてくる所見です(図2)。X線検査の分類で有名なBomsel分類もあるので参考にしてください。3.治 療  サーファクタント補充療法が開発されてからは、RDSの予後は劇的に改善しました。ただし、補充の際に挿管チューブの深さ、体位、陽圧換気の圧設定に注意し、人工肺サーファクタントが不均等に分布することがないように心掛ける必要があります。1.病態生理  未熟な肺に対して、子宮内や出生後の感染、人工呼吸器管理による肺損傷、酸素毒性などのさまざまな侵襲が加えられることによって発症する肺障害です(図3)2)。肺の発達は、木の枝に実が実るように、気管から左右気管支、細気管支、肺胞と形成されていきます。肺胞ができる一つ手前の状態を肺胞囊と呼びますが、妊娠24〜38週にかけては、この肺胞囊慢性肺疾患(CLD)ネオネイタルケア 2018 秋季増刊  51

元のページ  ../index.html#9

このブックを見る