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チアノーゼ5芦名満理子あしな・まりこ神戸大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター小児科助教1.まず正常を見極めるチアノーゼは、酸素と結合していない還元型ヘモグロビンが5g/dLを超える状態と定義されるが、皮膚や粘膜が暗紫色となる肉眼的チアノーゼは還元型ヘモグロビンが3g/dL以上の状態で認める。チアノーゼは、病態に基づき末梢性チアノーゼと中心性チアノーゼに分類される1)。中心性チアノーゼは動脈血酸素含有量の低下により低酸素血症を呈する状態である。一方、末梢性チアノーゼは、一時的な末梢循環不全により動脈血酸素含有量は正常であるが、時間当たりの組織の酸素需要よりも供給が下回っている状態である。肉眼的チアノーゼは、中心性チアノーゼでは、顔や体幹など全身性に出現し、粘膜にも認められるが、末梢性チアノーゼでは、主に四肢末端に出現し、粘膜には認められない2)(図)。出生直後の新生児は、胎児循環から新生児循環へ移行途中であり、胎内から胎外環境への適応生理の過程として中心性チアノーゼと末梢性チアノーゼのいずれも認める。出生時のチアノーゼは、自然にあるいは適切な基本的初期処置により、経時的に生後10分程度かけて改善する。この経過から逸脱する、つまり、生後速やかに改善せずに遷延するチアノーゼや、改善した後に再度出現するチアノーゼは病的であり対応が必要となる3)。2.初期対応(ドクター&ナースの対応)パルスオキシメーターを装着しSpO2を測定する。全身状態を観察する(活気、努力呼吸の有無などの随伴症状の確認)。各種バイタルを測定する(体温、心拍、血圧など)。藤岡一路ふじおか・かずみち同小児科講師図 四肢末端のチアノーゼ生後約10分の軽度呼吸障害を正期産児に認めた。128  with NEO 2020 秋季増刊

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